スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

星新一さんについて

星新一さんはショートショート(以下、SSと書きます。)小説の第一人者で、SF界の重鎮です。

僕の読書生活に大きな影響を与えてくれた方でもあります。

読み始めたきっかけは姉が集めていたからと単純ですが、一度ハマってからはすごかったです。

四六時中星新一さんの本と共にあり、学校の図書室でも読み続けました。

3ページくらいの短い話にもちゃんとしたオチがあって最後はどうなるか予想しながら読むのが楽しいです。

今でも短編が好きなのは星新一さんのおかげです。

 

星新一さんは日本にも多大な影響を与えているような気がします。

ボッコちゃんの発表が1958年になりますので、60年前から活躍していることが分かります。

星新一さんには先見の明があったので、作中に登場する発明品は現代になり実現しているものもあります。AIとかがそうですね。

エヌ博士が冒頭に出てくると今回はどんな発明品がでてくるかのか楽しみでした。

しかし、たまに星新一さんは人を書くことができないという批判があります。

どんな容姿でどんなことを考え、どのように生きていくかは確かに詳しくは書いていないです。

しかし、それは意識してのことだと思います。

60年前の小説が今なお読まれているということは色褪せない言葉を中心に文章を作っているということです。

SSの話で特に多いものは宇宙旅行、夢のような発明品、天使や悪魔が願いを叶えてくれる、絶世の美女がでてくる話などです。

これらへの関心が薄れることは考えづらいし、美しさの基準がどれだけ変わろうとも美女とか美人という言葉を使うので、いつまでも色褪せることはなく、書店には残り続けるのだと思います。

 

実は僕はどちらかというとSFは苦手な方です。

ちゃんと理解できるまで説明してくれる小説が少ないので、途中でわからなくてもいいやってなってしまう傾向にあるのです。

けれど星新一さんのSFは毎回分かりやすく楽しいです。

それはSFの世界を作ろうとしているのではなく、SFが当たり前にある世界の話を書いているからだと思います。

なぜタイムリープできるのかよりもタイムリープがある世界の話の方が楽しいです。

星新一さんの少年のような心がロマンあふれる物語を生んでいるのだと思います。

 

書いているうちに熱くなってしまい、本の話を忘れたので二回に分けます。

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絶対におすすめできない恋愛小説

「リケコイ」 喜多喜久

 

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この表紙に一目惚れして買ってしまった一冊。

表紙だけでものすごい数の期待感が高まる情報があったのだ。

まずタイトル、「リケコイ」は石持浅海ばりの人の恋路を論理的に解明しそうな知性がある。

筆者の喜多喜久はこのミステリーがすごい大賞をとったことがあるので、いつか読んでみたかった。

表紙の女の子は知的で清潔感があってとても好みだ。

白衣を着ているから研究者なのかもしれない。

メガネ女子なのはやり過ぎな気もするが、男子心をくすぐるのは間違いないだろう。

男が少しバカそうなのもいい。

大人しい男と天真爛漫な女の子は鉄板の組み合わせだが、その逆でも面白そうだ。


いざ、読み始めるとひどかった。

大学院生の森くん(男の方)はモテない、彼女いない、性欲はある、これはよくいる男として仕方ないのかもしれないが、何かが余計な気がする。

羽生さん(女の子)は卒業研究で森くんに指導を仰ぐ。

恋が生まれそうな展開だが、早々に羽生さんが彼氏をつくる。

一度告白した森くんは往生際が悪く、「その彼氏と付き合ってなかったら俺の告白にOKしてた?」と聞くが、羽生さんは「たぶん、はい」と答えている。

小悪魔的なキャラを想像できなかっただけにショックを受けた僕は森くんほどではないが、落ち込んでしまい、本書に希望を感じなくなってしまった。


他にも羽生さんが森くんに彼氏とのセックスの話をしたり、合宿で乳繰り合ったりとこれが現代っ子の特徴だとしたら相当嫌だなと思えるエピソードが続く。

極め付けは学会の発表で同じホテルに泊まる時、森くんは羽生さんの部屋を訪ねてドアの前で土下座する。

「一発やらせてください」とお願いする姿はちょっと愉快だが、羽生さんにとっては迷惑でしかないだろう。

最後まで救いの無い物語は青春を表現したかったのだろうか?

モヤモヤしか残らない一冊になってしまった。


理系あるあるの恋が見たかっただけなんですけどね。

また他の作品で喜多喜久さんを楽しみたいと思います。

石田衣良さんについて

「1ポンドの悲しみ」 石田衣良

 

石田衣良さんは「IWGP(池袋ウエストゲートパーク)」シリーズで有名な作家です。

若者や女性を中心に人気があるような気がします。

しかし、僕は石田衣良さんの本を十作以上は読んでいますが、あまり良い印象を抱けずにいたところ本書で覆してくれました。

 

十数年間のことですが、今でも鮮明に覚えているとある書店でのOL同士の会話があります。

「石田衣良の小説って読んでも何も残んないよね〜。」

「分かる分かる〜。なんか頭からすぐに抜けていく感じ。」

とこんな感じでした。

しかし、僕はOLさんたちがネガティブなことを言っているようには感じませんでした。

それはポジティブなメッセージもあったからです。

OLさんたちの会話からわかることは一冊以上は石田衣良さんの本を読んでいるということ。

どこかでアンケートを取って欲しい気もしますが、読んだことのある作家ランキングなるものを作ったときには東野圭吾さんや赤川次郎さんを脅かす存在になると思います。

読みやすく手に取りやすい作家さんとして、最前線を駆け抜けている作家さんだと思います。

 

さて本書は石田衣良さんの得意分野の一つで恋愛短編集です。

様々な男女の組み合わせ、あの手この手を尽くした障害などはありきたりですが、ひとつだけ特異な話がありました。

それが表題作である「1ポンドの悲しみ」でした。

 

最初のシーンで男女がホテルに二人。

名古屋で会う二人は遠距離恋愛中だ。

ずっとイチャイチャしてから物語は後半へ。

新幹線のホームで別れを惜しむ二人。

「この世界は僕たちの悲しみが動かしているんだ。だってさ今ここから見えるものがすべて悲しいもの」

と悲しみながら物語は終わる。

 

恋愛短編集でこの流れは初めて出会いました。

何の山場も作らずにほとんどが濡れ場のシーンだけで終わる。

こんな終わり方、こんな書き方もありなんだと思い、衝撃を受けました。

何も起きないけど、胸にしみる。

この書き方は勇気がいると思いますし、本当に実力がないと書けないと思います。

 

今回は今でも記憶に残る短編集の紹介でした。

他にも「デートは本屋で」の話も素敵でした。

全てで10編のショートストーリーが紡ぐ一冊は本棚に彩りを加えること間違いなしです。

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「崩れる」 貫井徳郎

副題「結婚にまつわる八つの風景」

 

本書は結婚をテーマにしたダークな話を集めたミステリー短編集となっている。

怖い話が続くから本書のせいで僕の婚期が一年は遅れてしまった。

もし本書が大ヒットしていたら、少子化がますます進むことになるだろう!

と結婚できないことを本のせいにしてはいけないよね。

 

ここからはいくつか特に良かった話を中心に書きます。

「崩れる」

表題作にもなった話。

働かない夫とニートの息子がケンカをする。

暑さにうだされる妻がとった行動が恐ろしい。

妻が夫の悪口を言い過ぎたこともケンカの種にはなっていると思う。それがあんな悲惨な事件に繋がるとは。

一話目がこれだから先が思いやられる。

「追われる」

結婚相談所に勤める女性が主人公。

求める人には擬似デートを行い、デートの内容をフィードバックするサービスを行う。

この仕事の説明だけで嫌な予感がしたが、案の定擬似デートをした男性から告白されてしまう。

やんわりと断るものの男性の行動はストーカーじみていく。

ラストはミステリーにはありがちなのだが、実際にありそうなだけに怖かった。

擬似デートをしてみたい気もするが、フィードバックが嫌だな。

待ち合わせがスムーズじゃない、会話が面白くない、お店選びのセンスがない、その洋服はデート用なんですか?とか言われたら一生立ち直れない気がする。

⬆︎の言葉は本書には出てきませんよ。

僕が言われそうな言葉を想像してしまいました。

「見られる」

結婚間近の女性が毎日のようにイタズラ電話を受け、ひどい言葉を言われる。

「今日も遅刻したな」とかから始まり、「お前など結婚する資格はない」などの暴言に加え、「昨日は二回もしてたな」と部屋の中を見ているかのような電話まであった。

女性は電話の男があまりにも室内の様子を知っていることから身近な人を疑ってしまう。

結婚をする前に結婚したいのは果たして相手も同じ気持ちなのか考えないといけないのだろうか?

結婚は勢いとはいうもののその勢いに相手を巻き込まないといけないから大変そうだ。

 

このまま行くと結婚相談所を利用するか猫と結婚するしかなくなるので、結婚にネガティブなイメージを抱いている場合ではないですね。

お出かけして出会いを探そう!!

とは思うもののつい動物園に足を向けてしまう僕がいます。

動物園の片隅に恋が落ちていないか探しに行こう!

と文学めいたことを書いて終わりにします。

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本書は1994年に書かれた話もありますが、新鮮に読むことができます。

それだけ結婚というテーマは常に身近なものなのでしょう。

小ばなしのタネ3選

今回は本の紹介というよりかは雑談のための本について書きます。皆さまにもぜひ使って欲しいです。

 

①「動物キャラナビ」

大人気の占い本シリーズ。

すべての人は生年月日さえあれば、12種類の動物にタイプ分けすることができます。

ペガサスは動物じゃないというツッコミが必ずありますが、変わり者=ペガサスなので仕方がないです(笑)

僕は楽天的なトラで偶然にも父と一緒です。そして母とは相性が最悪なので家の中では父VS母、僕VS母という光景がよくありました。

母には相当な苦労をさせてしまっただろうと思います。

今はウェブで調べることもできますので、気になる人との相性を探ってみると楽しいと思います。


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②「浜村渚の計算ノート ふぇるま島の最終定理」 青柳碧人

クイズは何歳になっても楽しいです。

 特に知識が必要無いものの方が盛り上がる気がします。

というわけで本に載っていたけど本筋とは無関係だった問題を一つ出します。

「8枚のコインの中に1枚だけ、偽物が混ざっている。偽物は他の7枚よりほんの少しだけ軽い。さて、確実に1枚の偽物を見つけるのに天秤⚖を何回使えばいいでしょう?」

という問題。僕は解けなかったですが、遊び心のある小説は楽しいです。

この問題も有名なので、答えが気になる方はウェブで調べてみてください。

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③「傘をもたない蟻たちは」 加藤シゲアキ

始めに言っておきますが、小説としては上質な一冊では無かったです。

今回この本を選んだのは僕がジャニーズ好きだからです。

男なのに珍しいねとよく言われますが、曲がかっこいいところが好きなのです。

特に嵐が好きでベストアルバムは宝物です。

でもかっこいいと思える男は少ないです。稲垣吾郎と渋谷すばるくらいですかね。

あと山Pもかっこいいです。NEWSは山Pと錦戸がいた時が一番良かったような気がします。

今のジャニーズ界は僕の好きな人がどんどんいなくなってしまっているので、寂しいです。

V6は全員健在ですが、三宅くんがもっと活躍して欲しいです。

こんな感じでジャニーズ雑談が止まらなくなりますが、女性の方とジャニーズについて話すとどこかで僕が怒らせてしまうことが多いので、気をつけないとなぁと反省ばかりしてしまいます。

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今回は番外編みたいな感じでしたが最後まで読んでいだだきありがとうございました。

「容疑者Xの献身」 東野圭吾

以前に「ソウルケイジ」でも本書について少し触れましたが、やはり単独で書くべき作品だなと思いました。

本書は東野圭吾さんの最大級のヒット作で映画化もしています。

映画での福山雅治VS堤真一&松雪泰子は観ててどっちを応援したらいいのか分からなくなる人が多かっただろうと思います。

僕としてはなかなか真相を話したがらない福山雅治の口を、いかに割らせるかを戦っていた北村一輝と柴咲コウを応援しながら観ていました(笑)

本書は東野圭吾さんの大人気のシリーズでシリーズ初めての長編作です。

天才物理学者だが偏屈で変人でもある湯川の化学を使った推理は読んでいるものを賢くする効果があります。

 

本書のあらすじを一言で言うと湯川VS石神となる。

天才数学者・石神は湯川の大学の同窓生で友だちだった。

石神がよく使う弁当屋の女性が隣の部屋に住んでいるが、女性は我が子を守る為に暴力を振るう元夫を殺害してしまう。

石神は隣人の女性が男を殺したことを察して偽装工作の一切を引き受けるのだが、女性は警察に殺害を疑われ、石神は湯川に目をつけられてしまう。

石神はどのように女性が犯した殺人をごまかすのか、また、何の為に女性を警察から守るのか、最後まで目が離せなかった。

 

本書の魅力は石神の目的がなかなか明らかにならないことにあると感じた。

それとも動機が書いてあるにも関わらずなかなか信じようとしない僕は疑り深いのかもしれない。

それだけ石神の行動は理解しがたいものがあるのだ。もちろん僕にとってだが。

石神は湯川が認める程の天才で、対立関係になってしまう二人は観ていて痛々しかったが、石神の生き様を認める人は多かったのではないだろうか。

もちろん僕もその一人なのだが、今冷静に振り返ると石神は犯罪を犯した、身勝手な人であることは間違いないので、共感はしないようにと歯止めを効かせようと思う。

湯川の秘密主義に走るところはやっぱり好きになれなかったが、真相を追い求める様は科学者だったし、友だちが事件に関わっているかもと考えるとショックを受けて当然だったのだろう。

湯川は科学者だから警察も「早く真相を言え」と強くは言えないしね。

 

感動するポイントは、人はここまで深く人を愛することができるのか、というものだったと思います。

僕はこれに加えて湯川が石神に出した「絶対に誰にも解けない問題を作るのとその誰にも解けない問題に答えるのではどちらが難しいか」というものに感動しました。

湯川がどのような思いでこの質問をしたのかも深いですが、数学の問題として真剣に考える石神も深かったです。

数学や論理的思考力はとても身近なものなのだなと感じさせてくれたことも本書を愛する理由の一つです。

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途中で読めなくなったしまった小説3選

主に③の「君の名は」についてが書きたかったことです。

皆さまの知恵と経験をお借りしたいので、コメントをお待ちしています。

 

①「海辺のカフカ」 村上春樹

読書好きを自負するのならば村上春樹さんの小説を読まなければいけない!という使命感がありました。

この本はジャンルで分けると何になるのか?主人公の目的は何か?急すぎる官能パートは必要なのか?

後半まで読み進めても物語はつながりを見せず、全てが謎のまま本を閉じてしまいました。

下巻の最後の方まで読めたこと、自分で自分を褒めたいと思います。

ただ、主人公の「胃袋をちっちゃくするんだ。」は名言だと思いました。

ダイエット中の方にささる一言が素敵な物語でした。

 

②「ナラタージュ」 島本理生

島本理生さんの別の著作、「君が降る日」はとても泣けたので、僕と相性の良い作家さんということは知っていました。

ただ、読み始めて10ページほどでやめてしまいました。先に映画を観てしまっていたので、憂鬱な展開になってしまうと勝手に感じてしまったのです。

映画にいい印象がなかったことが大きいです。

有村架純は彼氏の坂口健太郎とケンカをします。(映画の話ですよ。)

有村架純は密かに想いを寄せていた松本潤(既婚者)にチクリます。

しかも泣きながら、坂口健太郎にいじめられたと察することができる格好なのに、彼は悪くないことをアピールしていました。

もう有村架純さんの印象を変えてしまうくらいの大事件でショックでした。

これはしてはいけないことだと思うのです。

女子会を開いて「アイツまじでサイテー」と悪口を言うくらいだったら可愛いのですが。

 

③「小説 君の名は」 新海誠

今回訴えたいことの本命です。

僕は物語はリアリティが一番大事と訴えてきましたが、「君の名は」にはそれが感じられませんでした。

入れ替わりに疑問はないです。僕も今読んでくださっている方も明日誰かと入れ替わるかもしれません。

しかし、今までの経験から入れ替わりが起こったこともなく、ありえないと思う人の方が多いです。瀧くんも三葉さんもそうでしたし、三葉さんは外見が男、中身は私であることを自覚した上で隠そうととしています。

それだと無理があると感じたのが次の場面です。

 

瀧くん(中身は三葉)がレストランでバイトをしていると、先輩(女性)のスカートが何者かに破られていたのに気づく。

以下は本文より抜粋します。(飛ばし飛ばしですが、使われていた言葉はそのままです。)

「先輩の手を掴んで歩き出していた(更衣室へ)。スカートの裂け目をつまんで、私はすいすいとかがり縫いをしていく。五分で仕上がったスカートを、私は先輩に渡した。」「不審げで不安そうだった先輩の表情が、みるみる驚きに変わる。」さらにハリネズミの装飾もつけた。と書いてある。

 

このシーンできるだけリアルに想像して欲しいです。

できれば先輩になりきってください。

なぜ、先輩はスカートを脱いだのか気になりませんか?

下にはズボンを履いていたのかもしれませんが、職場でしかも他のスタッフ(恐らく別の部屋ですが)もいると思うとリスクが高くないでしょうか?

これを映画を観た友だちに話すと「先輩は瀧くんが好きだったんだよ」と返されました。

しかしです、先輩はスカートが縫い終わった後ハリネズミの装飾に驚いています。

自分のスカートを男性に渡し、五分の間彼が何をしているのか見ないということができるでしょうか?何か変なことしていないか、ちゃんと裁縫できるのか気になりませんか?

このシーンだけで数時間考えました。答えは分からずです。もはやミステリーです。

事前に「僕は裁縫が得意でなんならハリネズミもつけて渡します。」と30分くらいの説得があって初めてなせる技だと思うのですが、その描写はありません。

強引に脱がせたわけはないことも知っていますし、先輩が瀧くんの中身が女性であることを知っている描写もありません。

どなたか明確な答えがありましたら教えてほしいです。

ついでにオチも気になりますが、「君の名は」を観た友だちにオチを聞くと「映画を観てみろよ」と返されます。

 

僕はこんな調子なので、友だちからは愛想を尽かされかけています。

どうか皆さまは大変そうな奴だなぁと温かい目でもうしばらくはお付き合いいただけたら嬉しいです。


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「ズッコケ中年三人組 age43」 那須正幹

遂に僕が最もすごいと思ったミステリーの紹介です。

本書は年に数回しか推理しない僕を夢中にさせ、仕事中ずっとついて考えていたくらいにハマりました。

何度読んでも面白く、そういえばこの三人組は小学生の頃からたくさんの事件に巻き込まれていたなぁと昔のことも思い出しました。

ぜひ一度手に取ってみて欲しいです。と言っても本書を置いている書店はもうないかもしれませんが。

 

本書を一言で表すと裁判員裁判の教科書です。

ハチベエが栽培員でハカセが解説役、モーちゃんはボーっとしています。

三人について語るととても長くなるので事件について書きます。

栽培員裁判は当事者になりきって読むことができてとても楽しいです。

皆さまも推理に参加して欲しいですがネタバレしすぎもよくないので裁判の結果や真相は書きません。

 

扱う事件は殺人。

被告は工務店の社長で被害者は元従業員だ。

元従業員はチャラくて社長の娘をしつこく誘うわ勤務態度は良くないわでクビになっていた。

辞めてなお娘にちょっかいを出していることを知った社長はキレて元従業員を殴ってしまった、というのが大まかな概要。

以下は裁判で提示された証拠について箇条書きで。

社長は一度取調べの際に自白しているが、裁判で殺人は否認している。

凶器はスパナ。スパナは被害者宅近くのゴミ箱に捨てられていた。

推定犯行時刻前、被害者宅の前で社長の目撃情報あり。証言者はおばあちゃん。

社長は被害者宅を訪れて、被害者を拳で殴ったことを認めているが、スパナでは殴っていない。

スパナは工務店から被害者が盗んだもので社長の指紋がついている。

 

まだまだ情報が足りないし、表現の違いがあるかもしれませんが、骨格はこんなところです。

争点は誰がスパナ🔧で殴ったか。

普通に考えたら社長が犯人です。

これらをハチベエや他の栽培員が話し合い、ハカセは制度について解説したり、ハチベエにアドバイスしたりしています。

しつこいようですが、モーちゃんはボーっとしています(笑)

段々と事件の概要が明らかになる様子は本格ミステリのようですが、とっても丁寧に事件や制度を書いている分、三人組の活躍は少なめです。

そしてハカセの恋バナに気を取られつつもページをめくると、遂に判決が確定します。

 

すごいのはこの後、事件は決着したかに思えたもののハカセの中ではモヤモヤが残り、僕もつられてモヤモヤします。

僕は一度ページを閉じ、考え続け、まとまった頃に読み進めるとハカセと同じ結論に達します。(その時の嬉しさは言葉にならない。)

この時点で残り8ページ、そのまま終わってもよかったものの、ハカセは推理したことを社長にぶつけます。

ハカセはたまに無茶な行動をするので、三人組の中で一番危険な男です。

社長の返した一言は衝撃的な言葉で、、、。

まさかズッコケシリーズで大どんでん返しを起こすようなミステリーと出会えるとは思っていなかった僕は熱が出たかのようで、しばらくはハカセと一緒に呆然としていました。

 

ズッコケ三人組は中年になってもツチノコを追い続けるなど、とても無邪気ですが時々目の覚める様なミステリーがあるのが魅力的です。

いつかテレ東辺りでドラマ化して欲しいなあという呟きで締めます。


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左がハードカバーで右が文庫。

将来の夢の一つにズッコケシリーズを全て揃えるというのがあります。

「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」 作・浜田秀哉 ノベライズ・百瀬しのぶ

本書は学校にスクールロイヤー制度を導入し、弁護士の田口が奮闘するというもの。

大テーマとして、いじめ問題を法律で解決するというのがあったと思うが、しっかりと表現できていなかった部分は否めない。

というのも敵は強大すぎる上に問題は複雑だからだ。

 

主人公の田口は学校から雇われた弁護士なので、基本的にはというより、法律的に学校の利益になることしかできない。

モンスターペアレントを追い払ったり、顧問のミスをかばったりしているうちは良かったが、公教育の制度を変えなければ根本的に解決しないことに気づく。

勤務時間の超過や休日出勤、部活動の顧問制度などがそれだ。

様々な問題にぶち当たり田口は次第に孤立していくが、その中でも雇い主筆頭の校長先生が隠蔽体質と言われても仕方ない教員だったことが良かった。

田口に優しい口調で接するものの、学校体制を崩さない姿勢はこの物語に必要だった。

法律的な教員よりか、神職としての教員を貫いた校長先生に共感してしまう僕は田口の敵なのだろう。

それでも田口のいじめを法律で解決させようとしている姿勢には頭が下がった。

応援はするし、加害者は退学処分や刑事処罰されればいいと思うが、行き過ぎるとアメリカの学校みたく、銃を持った警備員を巡回させることになりかねない。

たくさん頭を使わされる一冊だった。

 

本書の裏テーマとして「教員は選択できる職業の中の一つか、それとも神聖なる職業で子どもの教育のために己を全て捧げる職業か。」というものがあったと思う。

これはきっと公教育の永遠のテーマになるのだと思う。

 

最後にいじめに対して僕の見解を一つ書いて終えます。長くなってしまいますが。

僕ははたから見るといじめられているように見えていたのだろうという時期がありました。

それは詳しく書きたくないし、訴えたくもないし、当事者を責める気にもなりません。

しかし、先生方は必死になって事実と気持ちを訴えるように言ってきました。

問題になる前に解消させて当校にいじめはありませんとしたかったのかも知れませんし、もちろん心配してくれてたのだなということも分かりますが、信頼しようとはなりませんでした。

この訴えるのを待つ学校の姿勢は時に重大な結果を生むことになると思います。

 

そこで、先生に提案したいのは早期にいじめの芽を摘むことです。

具体的に書きます。

誰かが変なあだ名をつけられていたら、「そのあだ名、私は好きじゃない。もう使うな。」と対応する、ふざけ合っているのか誰かが殴られているのを見たら、「殴るのはよくない。」とやめさせる。

どちらも乱暴で先生が悪者になるやり方ですが、(もちろん先生の日頃の行いが良いことが大前提ですが)一方的な関わり合いを防ぐことはできると思います。

表面的にはいじめが見えなくなるだけだという反論がありそうですが、先生は問題に取り組んでいたと見せられるのではないでしょうか。

こう言うと冷たい印象を与えてしまうかもしれませんが、今の制度だと学校外のいじめは防ぐのは難しいように感じます。

あとは普段の関わりの中で相手を大切にしたい気持ちを育むことが大切になると思うのですが、弁護士はそれができないのが弱点ですね。

 

今回はバカ真面目で長たらしい話ですみませんでした。

この問題は一人一人が考え続け、時に語り合うのが大事だと思うので一石を投じることができればと思いました。また、本書は学校の問題について真剣に考えるきっかけになるのでおすすめです。

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「天才はあきらめた」 山里亮太

山里亮太さん結婚おめでとうございます🎉

 

僕はいち早く彼がモテ男であることを知っていたので、メディアで美女と野獣みたいな扱いがおかしいと思っています。

過去のテレビで女性を誘うメール術の先生を務めていた山里亮太さん。

誘うときは「来週の金曜日、映画観に行かない?」くらいのシンプルさでいいと教えてくれました。

まだ使ったことはありませんが、いつか試したいと思っています。

 

結婚自体はとてもおめでたくて特に蒼井優さんには幸せになって欲しいです。

(蒼井優さんは人妻になるのかと寂しく思いますが、上戸彩さんの結婚の時ほど落ち込まないのは僕が大人になったということなのでしょう。)

しかし、山里亮太さんの人柄や功績を讃える声が大きすぎるのが気になってしまいました。

お祝い気分のところ、水を差してはいけないと思うのですが、本書には山里亮太さんの今までの悪事が収められています。特に相方に対しての悪事です。

それを読んで山ちゃんはヤバイやつという印象を抱いてしまいました。

なので、山ちゃんと共演NGを出していたしずちゃんが、二人の間を取り持ち祝福をしたことが、僕の中で一番の感動ポイントでした。

しずちゃんの涙と山ちゃんのラジオでの号泣には僕もうるっときました。

騒動がひと段落して落ち着いて考えると、美女と結婚した山ちゃんに嫉妬心があったのだなぁと気付かされ、今は心から祝福しています。

 

嫉妬心については山ちゃんも本書で語っています。彼いわく、嫉妬心が心のエンジンだと。

バカにしてきたやつを見返す為の努力はすざましいものがありますが、嫉妬心を相方に向けるとちょっとおかしくなる気がします。

しずちゃんに対する嫌がらせは度を超えていたと思いますし、足軽エンペラー(以前組んでいたコンビ)の相方にも嫌がらせをしていたのも書かれています。

この辺りがミステリーなのですが、足柄エンペラー時代の相方がブチ切れて、山ちゃんに自転車を投げようと持ち上げたとき、近くに警察官がいたのに助けようとしなかったらしいです。

山ちゃんに自転車をぶつけるくらいの報復は国で認めてもいいくらいだと判断したのかもしれません。

他にもたくさんのエピソードがあって山ちゃん自身の恥部を惜しげもなくさらしています。

他にも南海キャンディーズの出世作である、医者ネタの台本が公開されているのがとても良かった。

台本で読んでも笑えたのであのネタはすごい!

 

ここまでの流れを覆しますが、本書で一番良かったのはオードリーの若林の解説でした。

もう文章の巧みさといったら作家顔負けのレベルではないでしょうか。

多くの方が若林さんの解説が良かったとネットに書いていました。

本書の発表後に若林さんの評価が高まったことに山ちゃんの嫉妬している様子が目に浮かびます。

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中野の本屋でサイン本を手に入れました。

サイン本を見るとつい買ってしまうのは僕の悪い癖です。