「奇妙にこわい話」 阿刀田高・選
本書は奇妙にこわい話を公募して集め、阿刀田高さんが選んだ短編集となっている。
僕はこの手の短編集が大好きで、星新一さんが集めた「ショートショートの広場」シリーズも大好きだ。
これらの本で特に面白いのは最後についている選評だ。
この話は何点とか、大賞にした理由とかを載せている。プロの作家さんがどんなところに注目して何を面白いと感じているのかはとても興味深い。
基本的には言葉の使い方や誤字がないことが大切とあるから僕も気をつけている。
阿刀田高さんの選評で特に印象的なのは本書では実話をただ書いて送ってくるのではなくて読み物として面白いものを載せているとあるところだ。
確かに心霊体験などは文字にしてしまった瞬間にリアリティがなくなってしまう。当事者でしか語れないことをいくら書いたとしても体験してみないとリアルではない。
ならば、読んでいてリアルに感じるような、共感できるような、面白いものの方が絶対に優れているだろう。
その採用基準を示すように本書のシリーズで「自分の影が自分を食べる世界」が書かれたものが載っている。
阿刀田高さんも選評でこれは実話体験ではなく、ショートショートだろう。と書いていた。
普段は優しすぎるくらいに優しい人が満員電車の中で前の人の背中に口紅で落書きしていた話など、人の怖さを描くものもあるから面白い。
僕が把握している限りで四作あるこのシリーズはどれも読みやすくておすすめです。
今回は内容をあまり紹介していませんね。たまにはあっさりと終わります。