伊坂幸太郎さんについて (オーデュボンの祈り)
十五年くらい前から伊坂はすごいぞというウワサを聞いていた。
が、この背表紙を見たときに「未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止できなかったのか?」とあって、はぁってなった。
まずカカシは喋れないし、未来予知もできない。意味不明だ。
解説にはこれがデビュー作とあったから驚いた。
その時は特に分かりやすさを求めていた時期だったので、石田衣良さんの「池袋ウエストゲートパーク」を熱心に読んでいたと思う。
なのでこの小説を読んだのは出会ってから5年後となってしまった。
いざ読んでみるとはまってしまい、一気読みとなった。
それ以来伊坂幸太郎さんの小説は全て買うようにしている。
ユーモアのセンスが良くて何気ないシーンでも楽しめるのが特徴だろう。
伏線の張り方も上手いがずっと読んでいるとここが伏線だなと分かってしまうところもあるのだが、ここは後ででてくるなとか予想しながら読む楽しみ方がある。
ミステリーではわざと早めに犯人が分かってしまうことがあるのだが、それも計算しているのだと感じる。
予定調和がこんなにも面白いのは伊坂幸太郎さんだけだ。
伊坂マーク(語り手が変わる・シーンが変わることを知らせるマーク)も新しくてこのパート好きとかってなりやすい。
本書は自殺に失敗した青年が辿り着いた島には案山子がしゃべり、桜という歩く法律のような男が銃を持ち、そしてあるものが無かった。
案山子には過去に魂を吹き込まれた歴史があってそれは伊坂幸太郎さんが時代小説を書いたら面白いだろうなぁと感じさせてくれた。
魂を吹き込むシーンには泣けた。
悪役の警察官が怖すぎて👮♂️今でもトラウマになってしまっているが、全てのキャラが魅力的なのも伊坂作品のいいところだ。
伊坂幸太郎さんの作品にはかなり思い入れがあるのでこれからも続々とあげていきます。