「震える牛」 相葉英雄
本書は僕の中でタイトルに惹きつけられた小説ランキング第一位です。
現実で起きた事件の規模が大きいぶん書籍化が難しかったのだろうか、BSEの問題を扱った小説は本書しかないように思います。
BSEの問題が起きた時、僕は小学生でこのニュースに全く興味がなく、大人になっても知らずにいたままでした。
当時、何故か牛丼が食べられなくなり、でも豚丼うまい。肉骨粉ってなぁに?それはいけないことなの?誰か悪い人いたの?って状態でした。
それらの全ての疑問に答える小説ではなかったが、とても面白い警察小説だった。
メモ帳をいっぱいに使う刑事が主人公だ。メモを懸命にとる人は信用できるし、ときどきそのメモを見直すシーンが自然に差し込まれることで頭が整理できる。
事件現場となった東京の中野は僕の地元で僕に土地勘があったので自然に捜査に参加できた。
食肉偽装する企業はひどいなと思うがミンチ肉に何かを混ぜられても気づける自信が無い。
企業の雇い方や偽装方法などが大分ひどく書かれていたが、現実にもこのような世界はあるのだろうか?もしくは実際にこんなにひどい企業があったのだろうか?
新たな興味を引き出してくれた小説だった。
僕の書店員時代に筆者と出会ったことがありますが、とてもていねいな仕事が出来そうで物腰の柔らかいイケメンでした。
本書の主人公とも似てる気がするので更なる活躍を応援したいと思います。