「つむじ風、ここにあります」 木下龍也
本書は短歌集となっていて、テーマ毎に何編か集められている。
全く詳しくはなくて申し訳ないのだが新鋭短歌というジャンルらしい。
読んでいてほっこりするもの、びっくりするもの、季節を感じるもの、たくさんのジャンルの短歌があったが、ふざけたテーマのものも面白かった。
ここからは本書に載っているいくつかの短歌を引用して紹介させていただく。
例えばテーマが「対佐藤」では
「全員の性が佐藤であることを知っているのは神と受付」
「ペンネーム佐藤大好きさんからのお便りですが黙殺します」
などがあり、とてもユニークだ。
短歌はこういう感じでいいんだなと身近なものと感じることができた。
もちろんまじめなというか趣きがあるのもたくさんあって
「つむじ風、ここにあります 菓子パンの袋がそっと教えてくれる」
「日だまりのベンチで僕ら さくら散る軌道を予測していましたね」
など美しく感じるものも多くある。
僕が特に気に入ったものは以下の三つ。
「『千円になります』と言い千円になってしまったレジ係員」 皮肉が効いている。
「ぷよぷよは消える瞬間 背後から刺されたような顔をしていた」 確かにそうだな(笑)
「イヤホンを外した人に最初より大きな声で死ねと伝える」 車内かな。何度も言わなくていいのに。
まだまだありますが、ネタバレが過ぎるのでこの辺りにしておきます。
本棚に置いておくとクリエイティブな才能に目覚めそうな一冊です。