「キャットフード」 森川智喜
猫が表紙だとすぐ手に取ってしまうのは僕の悪い癖だ。
昔実家で黒猫のメスを飼っていて彼女の気高さと美しさ、そして時々ひざに乗ってきてくれた愛らしさは絶対忘れない。
小説の中でもいいからもう一度出会いたいと思っている。
話しがそれすぎたが本書はちょっと変わったミステリー。
分かりづらい表現になってしまうが、タイトルの「キャットフード」とは、人間が猫のエサということだ。
化け猫たちが集うコテージに遊びに行ってしまった男女四人。
しかし、そのコテージは人間をミンチにするカンヅメ工場だった。
だが、四人の中には人間に化けた黒猫のウィリーが混ざっていた。
ウィリーは飼い主を死なせたくない。化け猫は化け猫を見分ける事が出来ない。しかも化け猫同士の殺傷はご法度。
果たしてどちらが勝つのか⁉︎
化け猫は変身能力があり、家具に化けたり水着に化けたりできる。
ルールのあるロジックバトルが何とも楽しいが、僕はもちろん人間の味方の立場で読んでいた。
ここから賛否が分かれるが探偵の三途川理(さんずのかわことわり と読む)が出てくる。
こいつは工場側の化け猫の飼い主で人間とウィリーの見分け方を指南する。
僕はめったにキャラを嫌いにならないが、三途川だけは大嫌いだ。
探偵が人殺しでは気持ちが悪い。
しかし、この作品を読んだ人と話したが三途川が好きとのこと。
その人曰くファンは多いらしい。信じられない事だ。
まぁ最後は作者の思惑通りになりました。
この作者は本格ミステリ大賞を受賞していて、突飛な設定とロジックバトルが特徴的です。
気分が悪くなることもあるが、感情を揺さぶる小説はそれだけで素晴らしいです。
このシリーズについてはまた書く予定です。