「スノーホワイト」 森川智喜
本書は以前に紹介した「キャットフード」のシリーズものです。
なのでまた三途川理(さんずのかわことわり)がでてきます。
彼は一言で言うと極悪人です。
論理的思考力がずば抜けて高いが、自分の名を上げる為には殺人もいとわない僕が見た中で最悪の探偵です。
本書でもその頭の良さと悪徳さは健在でした。
彼について語る前にまずは主人公の話を。
白雪姫のような美人な女性は襟音ママエ。真実を映し出す鏡をもつ異世界からやってきた反則の探偵だ。
彼女は推理が苦手でせっかく答えが分かる鏡を持っているのに説明が苦手だ。
自転車の紛失事件や時計消失トリックの真相は分かってもどう依頼人に説明するかまでを鏡に尋ねる。
最強の探偵なのだが、探偵らしくはない。
ある時お金持ちの依頼人に呼ばれママエと三途川は出会う。
名推理を披露するママエだったが、三途川に鏡の存在に気づかれてしまったあげく奪われてしまう。
鏡を取り返そうとするママエ対鏡を意のままに操り、次々に鏡の新しい使い方を編み出す三途川のロジックバトルが始まる。
見どころはやっぱり鏡の使い方かな。
「ドドソベリイドソドベリイ!」という呪文のあとに「事件の真相を教えて」というのが普通の使い方だ。
鏡はすぐに真相を教えてくれる。
三途川は鏡の本質は知らせることだとすぐに見抜く。
そして鏡を暗殺の道具にしようとする。
ここが山場だ。ヒントはアマゾンスピーカーに「音楽かけて」と「音上げて」かな。
ラストは相変わらず作者の思い描いた通りになりましたとさ。
めでたしとなるかは読んで確かめてみてください。
ちなみに著者はこの作品で本格ミステリ大賞を受賞しています。
ちょっとライトノベルに近い一冊です。