「俺、猫だけど夏目さんを探しています。」 白野こねこ
写真が残っていたら公開したかったのですが、実家で飼っていた黒猫のくまは世界一美しい猫でした。
長い睫毛と切れ長の目、人を寄せ付けない雰囲気を持ちつつも寒い時は甘えてくるツンデレさんでもありました。
それに加え、胸元と足の付け根に白い毛が生えていてそれが下着姿のようで、色気がたっぷりとありました。
時々、くまが足を広げて座っていたら家族でお嫁に行けなくなるよと注意していました。
本書の主人公もくまと同じく黒猫です。
お腹の一部が白いのも似ていますが、作中ではブサイク猫と呼ばれていたし、表紙の絵を見てもくまの方がかわいいです。
でもクロのおかげで黒猫の白い部分のことをエンジェルマークと呼ぶことを初めて知ることができました。
改めてくまのエンジェルマークはセクシーでしたが、くまの話はもうきりがないので終わりにします。
本書のタイトルから分かる通りに語り手が黒猫のクロで、夏目さんは野良猫のクロにエサを与え続けた優しいOLさんとして描かれている。
本書は野良猫のクロが元野良猫のクロになり、夏目さんが元夏目さんになるまでをていねいに描いた家族の話だ。
夏目さんと使い魔(←クロは夏目さんの恋人を使い魔と呼ぶ)がドタバタがあって仲良くなる様子はとても微笑ましかった。
ドタバタを詳しく書くと、夏目さんはクロにエサをあげるなど、猫好きでクロのことを可愛がっていたが、そこに使い魔が来ると逃げてしまう。
それが何度かあり、次第に夏目さんはクロのところに来なくなってしまう。
このままだと食いぶちをなくしてしまうと考えたクロは夏目さんを探すことに。
何とか夏目さんを見つけることができたが、そこに使い魔が現れて不穏な空気になる。
(何度も街中で二人と一匹がばったり会うのは偶然だ。)
夏目さんが使い魔を避けていた理由はくだらないので書かないが、答えとしては使い魔の妻が夏目さんとなる。
その後、二人は結婚して双子を生み、クロを家族として向かい入れる。
一方でクロは美しい白猫と子どもを作る。
双子をしっぽであやすクロは猫にない忠誠心を持っていて素敵だ。
他には使い魔の妹と元夏目さんの弟の話、クロが神様猫として崇められるというほっこりする話が続く。
猫小説としてはモフモフ感(?)が足りなかったことと、日常の謎系ミステリーをやりたかったのだろうが謎が弱すぎたという弱点がありました。
しかし、猫の交尾を真正面から書いたことが珍しいのと、エンジェルマークという言葉を教えてくれたから満足な一冊になりました。