「ありがとう、さようなら」 瀬尾まいこ
僕の親族に中学校の先生がいることと僕自身が小学校で働いていたことがあって、とても身近な内容のエッセイ集だと感じました。
僕がエッセイを読むのは珍しいのですが、一日で読むことができて、全ての話が最高に面白かったのは初めてです。
本書は瀬尾まいこさんとは初めましてだったにも関わらず、背表紙も見ずに手に取ったものです。
(昔はあらすじを読んでから買っていたのですが、最近はインスピレーションで買うことが増えました。)
それで最高の一冊に出会えたのですから僕の嗅覚が研ぎ澄まされてきたということでしょうか。
本書は瀬尾まいこさんが小説家兼中学校教員だった時のエッセイ集です。これは雑誌のダヴィンチで連載していたものを集めたものみたいです。
給食の鯖が苦手だとか生徒に告白されたとか赤裸々に語っています。
解説にもありましたが、筆者は本業と執筆内容のバランス感覚がいいですね。
瀬尾先生と近くにいる子だったらこれは自分とのことを書いていると分かる内容なのに、誰もがほっこりできる内容にしていました。
基本的に人の悪口を言わず、自虐ネタで笑わせてくれたのが良かったのだと思います。
本書で瀬尾先生は自分のことを化粧気が無くモテない、どんくさいくて反射神経が鈍いだの散々な言いようでした。
気になった僕はネットで瀬尾まいこさんを調べてみることに!
すごく美人な方で驚きました。でも学校では化粧していないこととたまには怒るかもしれないので生徒からみると見え方が違うのかもしれませんね。
各章を3ページでまとめてあってすごく読みやすかったですが、特に良かったのは野球の話でした。
当時瀬尾先生が働いていたのは小規模校で男子はみんな野球部に入らないといけなかったみたいです。
それでも勝てないのに部活が選択制になり、部員が減ってしまうとさらに勝てない。それでも野球を楽しむ子どもたちに感動したという話でした。
やはりひたむきに努力する様子は素晴らしいですね!
瀬尾先生は生徒さんの個性を魅力的に書くのが上手いです。
そんな瀬尾先生が書く小説は絶対に楽しいだろうなと思わせてくれるのには充分すぎました。
他にはマラソン大会や合唱祭といった中学校ならではの話が多かった気がします。
瀬尾先生ならではの作品に興味を持つことができた一冊でした。
この度は素敵な物語に引き合わせてくれてありがとうございました。先生さようなら。またお会いしましょう。