「アウターゾーン」 光原伸
第4巻19話「魔神の手」より
30年前のマンガを紹介します。
アウターゾーンはオムニバス形式のストーリーで主人公が毎回変わる。「笑ゥせぇるすまん」とよく似ていると言ったら作者に怒られそうだが、事実だろう。
表紙の女性はミザリィという。彼女が主人公と関わりアイテムを売ったり、主人公に不思議なことが起こる時にしれっと近くにいたりする。
例えばマジック・ドールというシリーズでは刑事と人形のペアが事件の捜査をする。ちなみにこのシリーズではミザリィの出番が全くと言っていいほど無くて冒頭で二人(刑事と人形)を紹介するための1ページしか出ない。でもそこがかわいい。
他にも悪魔とは人間の悪意の塊だとする発想が面白い。ミザリィvs悪魔なんてのもある。
特徴としては全ての話をハッピーエンドに収めようとすることだろう。
著者は奴らとの対決という意識があるからハッピーエンドこだわっていると書いている。奴らとは不幸にしようとする何者かとのこと。
おかげで僕も物語はハッピーエンドであるべきだと思うようになった。
ここからネタバレ全開でいきます。
さて、「魔神の手」だ。古本屋の店主が主人公。店をのんびりと営んでいる。
ある日大学の同級生だった男から魔神の手を買ってくれと頼まれる。それは骨董品店から盗んだもので(ちなみにこの骨董品の店主がミザリィ。以降出番はない)願いを3つまで叶えるが願いを言う時は気をつけろとのこと。
カフェで魔神の手を使い「一万円くれ」と願うと店員が洋服にコーヒーをこぼしてしまい、クリーニング代として一万円をもらう。
男いわく、願いを叶えるが災いも連れてくるとのこと。しかも魔神の手は持ち主の願望を引き出す性質もあるらしい。
男はまず大金を願うと、家が燃えて家族が全員死にその保険金を手に入れた。
次に美人を求めたら美人と結婚できたが妻は浪費家ですぐに借金生活になった。
最後はその女と縁を切りたいと願う。妻は事故死したが、ヤクザの娘だったので父親から殺人を疑われ今は逃亡生活をしている。
わずかでもいいから金が欲しいと主人公を頼った。
主人公は20万円で魔神の手を買い店に戻る。
妹に事情を説明し、2つ目と3つ目の願いをする。
2つ目の願いは「未来に希望がありますように」この願いは不幸を招きようがない。
3つ目は「魔神の手よ、消えてなくなれ永久に」これでもう悪さが出来なくなる。
ラストには古本屋のカウンターで読書をする主人公とラジオから希望的なニュースが流れてるシーンが描かれる。
まず、魔神の手との戦い方が見事だ。作者がやりたいことが愉快に描けている。
あとは本屋のカウンターでの読書に憧れた。
将来僕は本屋を開きたいので、そんな働き方もあるのかとうらやましくなった。
アウターゾーンは僕の価値観の形成に大きな影響を与えてくれた。
全15巻出ていて色々な話があって楽しめる。
近未来の話や、幽霊や悪魔、秘密アイテムの話もある。
もう新刊では手に入らないだろうが、名著なのでぜひ一度読んでみてほしい。