スポーツ小説の不朽の名作
「おっぱいバレー」 水野宗徳
最近は本当にありがたいことにこのブログを読んで下さる方が多くなってきたと感じています。
しかし、どうしてもこの本について書きたくなりました。
本書はスポーツ小説の中でも強くなりたいという気持ちが一番伝わってきたからです。
強くなるためのノウハウが詰まっていますし、スポーツの祭典が近くなった今にぴったしな気がします。
と言い訳を重ねてみたもののやはりどうしても下世話な話になってしまうので、女性の方は薄目で読むか、これだから男子はやーねーなどと言いながら読んでいただけたら幸いです。
中学生二年生の彼らは弱小バレー部員だ。
新学期、新任の寺嶋先生(映画では綾瀬はるか。ピンクのジャージ姿が可愛らしい。)は全校集会のあいさつで「道程」の詩を朗読する。
もちろん男子たちは大爆笑なのだが、その理由に気づいていない寺嶋先生は天然だ。
寺嶋先生が新しく男子バレー部の顧問を任されたが、現状を知りショックを受ける。
部員たちはろくに練習もせず、マージャンをしているし、女子バレー部との練習試合で完敗するわで、手のつけようがない。
しかし寺嶋先生は熱を持った教師だった。女子に負けてもなお、マージャンをしていた部員たちに「ふざけるのもいい加減にしなさい!私はあなたたちが頑張るなら、どれだけでも付き合ってあげる。私はそういう教師なの。あなたたちを思う気持ちは誰にも負けない。」
「本当に僕たちのためならどんなことでもしてくれるんですか?」と部長。(ちなみに寺嶋先生はなんでもするとは言っていなかった。)
「ええ。それだけは誓うわ」
「じゃあ試合に勝ったら先生のおっぱいを見せてください。」
この後半ば強引に約束させられた寺嶋先生は地区大会で優勝したら見せると約束し、部員たちはおっぱいを見るためにメキメキと力をつけていく。
多分にふざけたストーリーなのだが、筆者は真剣にスポーツと向き合っているように感じる。
部員たちの身長やプレーの特徴をていねいに書いているし、部長がセッターなのもいい。
部長がおっぱいまでの道を作り、部員たちの士気を上げ、アタックを決めさせる、実に仲間想いの部長だ。
筆者は一つの強力な動機があると、強くなれることを知っている。ある者はインターハイを目指し、ある者は日本一なりたいし、そして彼らはおっぱいを見たい。
どんな動機であっても一生懸命に練習したことは一生の財産になるし、正しい努力を続ければ結果もついてくるだろう。
一つの強力な動機で結びつく彼らの青春を僕は純粋な気持ちで応援していました。
途中から僕は何を言っているんだろうという気持ちになりましたが、本書は上質なスポーツ小説だと思っていることは本当です。
そして大人になってもモテるために頑張りたい、女性のために頑張りたいという動機は不純なものではないとも思っています。
本書はコメディ小説であってとてもふざけた内容が最初から最後まで続きますが、試合の描写の臨場感は凄いです。
そのギャップもヒットの一因かもしれませんね。