スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

「槐」 月村了衛

突然ですが、僕の好きな映画の一つにバトルロワイアルがあります。キャストの良さと主題歌の良さが際立っています。特に塚本高史がかっこいいのです。

ただ、原作はまだ読んでいないのでいつか読みたいと思っています。

なぜ、この話をしたかと言うと「槐(えんじゅ)」を読んでいるとき頭の中で勝手に映像化して一つの映画のようになりました。

それはバトルロワイアルと同じく殺し合いですが、対立構造などが細かく設定してある描写はとてもリアリティがあります。

 

舞台は湖畔のキャンプ場、中学校野外活動部の一行が合宿で訪れている。

この湖畔に大金が隠されているという情報を聞きつけた半グレ集団・関帝連合がキャンプ場を封鎖し宿泊客を虐殺し始める。

更に情報を聞きつけた中国マフィアも加わってキャンプ場は戦争状態になる。

絶体絶命の中学生たちだが、謎の闘士が助けに来てキャンプ場からの脱出を目指すというストーリー。

間違いなく日本史上最大級の殺人事件となるが、40億の大金と早い者勝ちという時間制限に加えて警察の介入に時間がかかる山奥の湖畔という設定がリアリティを高めている。

 

主人公チームの目線で語られることが多いがこのチームの人間関係が面白くて応援したくなるのが、魅力の1つだ。

チームのメンバーは中学校の野外活動部の生徒と教頭先生(おじさんで口うるさい)と新任であまり頼りない感じの副顧問(若いが地味な女性)。

みんな個性的だ。ヤンキーがいたり、生徒会副会長がいたり。やる気あるメンバーはヤンキーと対立したり。部長は個人的な事情で関帝連合を憎んでいる。

助けに来た闘士とは何者か。なぜ助けてくれるのかもとても重要になる。

本書は設定や位置関係を理解してからが面白い。

基本的な構造は闘士vs.関帝連合の幹部vs.中国マフィア。教頭と中学生たちは脱出に尽力する。

好きなキャラが無事に生き残れるかと、ドキドキしっぱなしだった。

 

著者の舞台設定の描写が素晴らしく、多数のキャラが出てくるのに今何をしているか、どこにいるかが、すごく分かりやすい。きっと著者の脳内に映像が鮮明に浮かんでいてそれを伝えるのが得意なのだと思う。

 

僕は今までに「スマホを落としただけなのに」と「最後の医者は桜を見上げて君を想う」の映像化を予想し、当てたことがあります。

「槐」も映像化すると思うのですが、今回は自信が無いです。それでも今から映像化したときのキャストを予想して楽しんでいます。

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