スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

「押入れのちよ」荻原浩

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まずは表紙から見ていただきました。

この子のことはどう見えますか?

押入れに入れて放置するという、虐待もありそうですが、この子の表情と服装からはそうは見えないですよね。

となれば、あれしかないです!

そう。彼女は座敷わらしだー!!

と叫んでしまいましたが、押入れの中にいたちよちゃんは幽霊です。そして、とてもいい子でした(^ ^)

 

本書は9編からなる短編集です。

家族を書かせたら日本一かもしれない作家の短編集ということだけでも面白そうでしょ。そうでしょ(^.^)

今回はこの中からみっつの話を紹介します。

 

「殺意のレシピ」

今夜は決行の日だ。

あいつは離婚に応じないし、俺の生命保険を勝手に増額させやがった。許さん。

釣ってきた魚と一緒にあれを食べさせれば、あの世に送れる。

早くあれを食べろ!

 

夫は釣りに行くと言って若い娘と浮気をしているのを知っている。

離婚しようと言われたけれど、応じるつもりはない。

これは意地だし、生命保険金の五千万はこの男に十七年も我慢してきたご褒美だ。

今日は決行の日だ。

この日のために、山登りが趣味の振りをしてきたわ。さ、早くあれを食べて。

葬式で本真珠のネックレスをつけるのが楽しみだわ。

 

急に怖い話みたくなってしまいましたね(^◇^;)

これはある意味で最後の晩餐です。

最後のページ、夫婦は大爆笑です。

何が起きたと思いますか?

 

「介護の鬼」

これは本当に怖い話です。感動をしっかりと書ける著者は恐怖を描くのも超一流です。

夫の両親との同居は介護の可能性を意味しています。

奥さんは両親を、献身的に介護をしているように見えました。

しかし、実際していることは虐待でした。

熱い熱いおかゆを胸に垂らすと熱がる反応が3秒後にくるのが面白い、氷水で冷やしたタオルで全身を拭くと魚みたいにはねて面白い、だのとお義父さんがボケているのをいいことにやりたい放題です。

この奥さんは外道ですね。

夫は仕事で忙しい風なので、悪事はバレません。

しかし、ある日、「あんたの奥さんにもこぉおしてやったのよ。あの鬼ババアにもね」とお義父さんに語ります。

義母は奥さんの虐待のせいか、既に亡くなっていました。

この言葉を聞き、お義父さんは目覚めます。

そして、復讐の開始です。これはつい、お義父さんを応援してしまいました(๑>◡<๑)テヘ

 

「押入れのちよ」

駅から徒歩9分のボロアパートは家賃が三万三千円でした。なんか嫌な気がするものの、即契約です。

案の定、そこには幽霊という前住民がいました。

布団で寝ていると背中をツンツンしてくる、見知らぬ女。

お決まりのお前はどこから来たんだ?警察を呼ぶぞ!というやりとりのあと、落ち着きを取り戻し、話しをしてみると川上ちよさんは14歳で、明治39年生まれらしいです。

時が経ち、部屋の主は彼女を幽霊だと認めます。しかし、ちよちゃんはまだ自分が死んでいるということに気づいていないみたいです。それとも死というものを認めたくないのかもしれませんね。

そこから奇妙な同居生活が始まります。

ちよちゃんはかるぴすが好きないい子ですし、就活も上手く行ったこともあり、だんだんと仲良くなっていきます。

そのうちにちよちゃんは自分が成仏させるのだ!と心に決めるのでした。

ちよちゃんが「かるぴすを飲んでいいか?」と聞くシーンが印象に残っているのですが、当時にカルピスはあったんですかね(^_^)

ラストは凡庸な気もしますが、ほっこりと終わります。

 

荻原浩作品を読んだことのない方には、まずは本書がおすすめです。

あと、私ごとで恐縮ですが、今回で300記事に到達しました。体力の続く限り突っ走りたいと思います!