スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

「教場」長岡弘樹

本書は長岡弘樹さんの出世作です。

まぁ僕としては「傍聞き」の方が好きなのですが、「教場」を読んだときは文句無しの満点だと思いました。

ヒットの理由のひとつには設定がシンプルで、小回りのきくストーリー作りができるということがあると思います。

設定とは〈警察官を養成する学校に鬼教官がいた。生徒たちは無事に卒業できるのか⁈〉というものです。

 

夢を持って、警察官になりたい者が通う学校が警察学校です。教場とはクラスのことです。

警察学校に入校した彼らは既に公務員です。お金をもらいながら、本物の警察官になっていきます。

「教官の教えがきついんじゃ〜」と千鳥のノブさんなら言いそうなことですが、体罰は当たり前ですし、何人も退学させられます(^^;;

実際には体罰はないのかもしれませんが、警察官は自分の命が危ぶまれる仕事なので、一瞬の気の緩みも許されないのでしょうね。退学させるのも、教官の優しさなのかもしれません。

背表紙には《必要な人材を育てる前に、不必要な人材をはじきだすための篩(ふるい)。それが警察学校だ。》とあります。

本物の警察官になるためには様々な訓練や障害を乗り越えなければいけないのでした。

 

本書は全六話です。

毎回語り手は変わりますが、みな同じ教場で学んでいます。

担任は風間公親です。年始にやるドラマでは木村拓哉さんですね。

木村拓哉さんはSMAPのキムタクですよ、と書こうとしたのですが、今は元SMAPのと言わなければいけません。それはとても寂しいことなのですが、今回は関係ありません( ;  ; )

 

風間は恐ろしい教官でした。わずかなミスも見逃さず、生徒を追い詰め、辞めさせます。

それは日誌の書き方だけでも見抜きます。音について書く者は音に不安があり、早く卒業したいと書く者は今が不安です。

僕の読書日記は風間には見て欲しくないなぁ(*_*)

 

本書のスバラシポイントは2つです。

ひとつはミステリーなのだけれど、学園ものとも読めることです。

ひとつひとつの授業はとても楽しく、警察官になれた気分を味わえます(๑>◡<๑)

特に職務質問の授業。警察官はこんなところにも気を配り、目をこらしているのだとわかります。

もうひとつは読み終えたあと、警察官に感謝できるようになることです。

生徒のひとりに過去、スズメバチに刺されたことのある者がいます。その生徒に風間は蜂の巣の撤去を命じます。

刺されたらアレルギーを起こし、死ぬ危険さえもある。それでもそれをしなければ、退学になるし、本物の警察官にはなれません。

警察学校を卒業した人はそのような死線を越えてきた人たちなのだと思うと、不意の職務質問を受けても快く応じようと思えました。

 

汚職に手を染める警察官もいるみたいですが、初めは志を持って警察官になったのでしょう。初心忘るべからずとは、未熟だった頃の自分を忘れてはいけないということですが、この厳しい教場を越えた者ならば、よい警察官になれそうです。

将来、汚職に手を染めそうな者も、風間は落としていくので、信頼できます。

《週刊文春「2013年ミステリベスト10」国内部門第1位に輝き、本屋大賞にもノミネートされた“既視感ゼロ”の警察小説、待望の文庫化!すべてが伏線。1行も読み逃すな。》とは背表紙の言葉です。
学園ものが好きな方にも、警察小説が好きな方にもおすすめです。

f:id:oomori662:20191226085514j:image