スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

「君がいなくても平気」石持浅海

【愛した人が殺人犯だったらどうしますか?】

この手の内容の物語は結構多いですよね。

さすがに殺人犯だから好きになった人は少ないと思います。まぁ世界を探したら殺人犯マニアがいそうで、恐ろしいですが(^^)

これは実際に起こったのならとても難しい問題ですよね。

まず、自分が愛した人が殺人などするはずが無いと思ってしまいそうです。

次は情状酌量ですかね。殺された方に問題があるなど、殺人を正当化してしまいそうです。

あと、恐怖もありそうです。下手に動いたのなら自分も殺されるのではないかと思いそうです。

 

よく探偵ものでは探偵自身か探偵の仲間が犯人だと疑われることがあります。

コナンのマンガでもありましたね。コナンは未来少年ではなく、少年探偵の方です(^^)

蘭は新一に質問したことがあります。「もし、身近な人が犯人でもかっこつけて、あなたが犯人です!って言うの?」と。

新一は答えます。「当たり前だろ。ただ、かっこつける余裕はないけどな。その人が犯人じゃない証拠を集めるのにヘトヘトだろうよ」

細かくは違うのでしょうが、こんなニュアンスの会話がありました。

僕は証拠を集めている間にもう一件殺人が起こったら探偵のせいだかんな〜。なんて考えていました(´・_・`)

そうです。友だちからはよく、お前はひねくれすぎていると言われます。

 

本書の物語の骨組みはほとんど上に書きました。

水野が所属する携帯アクセサリーの開発チームは大ヒット商品を生み出しました。

しかし、祝勝会の翌日、チームリーダーの粕谷はニコチン中毒で不審な死を遂げます。

警察は事故として捜査しますが、水野は同チームで恋人でもある北見が犯人である決定的な証拠を見つけてしまいます。

彼女の部屋に見知らぬタバコのレシートがあったら疑いますよね。浮気かニコチン中毒を引き起こすタブレットの作成を!(>_<)!

 

本書の面白ポイントは3つです。

まずは愛した彼女は本当に殺人犯なのかということ。

水野は石持浅海作品の主人公ならではの論理的思考力を駆使して北見の正体に迫ります。

2つ目は、北見とどう縁を切るかです。

北見が殺人犯かどうかは分からずとも、リスクを回避するためには縁を切っておいた方が良さそうです。

しかも、同チーム内には賢い奴がいて、仲間の中に犯人がいるかもと考えます。

なぜか北見を守りたいとも思うし、もし北見が捕まるときには別れていたいとも思う。水野は大変です。

3つめは愛の証明です。

石持作品では大抵、科学者が主人公です。そして事件の捜査は話し合いで進められます。本書もそうでした。

水野は警察でも真相が分からない事件を推理しますが、そこに愛が絡むとさらにややこしくなりますね。

感情は北見を愛しているのだけれど、理性で考えたときには別れたい。

水野は矛盾する自分の気持ちに区切りをつけるため、論理的な愛の証明をしようとします。

これを上手く表現できるのは石持浅海先生だけのように感じてしまいます。

 

最後に僕が本書で一番気に入った一文で終えます。

《「全く可能性っていうのは、厄介な言葉だな。すべての可能性を上げていけば、きりがない。俺たちの手持ちの情報だけでは、アメリカ大統領が粕谷さんを殺した可能性すら、排除できないんだ」》

主人公にこう考えさせるのは石持浅海先生が研究者だからです。この科学的な考え方は僕の大好物です。

論理的思考力が試される小説は恋愛小説ともいえるものでした。

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