スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

「左手首」黒川博行

悪夢を見ることが多々ある。それは大体同じ内容だ。

それは殺人を犯す夢。殺害のシーンはないのだが、殺人という事実だけが残り、母親に叱られたり、警察に脅かされたりしている。

夢のあと、目が覚めたとき、ひとときの安堵を味わう。

しかし、そのあとすぐに罪悪感で胸が一杯になる。

そして思うのだ。

悪いことをしても見つけないで欲しい。悪いことをしていた僕は、そのとき、おかしかったんです。って。

なんて、いつのときでも僕は僕なのに、そう思う。

罪悪感とは恥ずかしさだ。それは申し訳ないという気持ちよりも先に来る。

言い訳が先に来てしまうのだ。

それがまた恥ずかしい。

 

ポエムみたいな始め方をしてみました(๑>◡<๑)

 

僕はよっぽどの悪いことはできないみたいです。

あとにくる罪悪感を考えるだけで恐ろしいのです。

凶悪犯罪者の気持ちは分かりませんが、罪悪感をいかに薄くするか、がポイントのような気がします。

罪悪感を感じづらくするには、人のせいにすることと日常としてしまうことなのかなと思います。

俺がこんなになったのは親のせいだ。

あいつは殴られても仕方のない人間だ。

悪人からは金を奪ってもいい。

俺は言われたことをやっただけだ。

警察が捕まえないから繰り返してしまうのだ。

などなど、犯罪者は自己を正当化するためには何でもするイメージにあります。

 

全7編からなる本書はなにわ犯罪小説として売り出しています。

本書には上に書いたような悪い奴らしか出てきません。

そして、主人公の男たちはどこか似ています。

ギャンブルに明け暮れ、女性は性欲のはけぐちにし、借金をします。

借金を返すために一発逆転を狙うのも共通です。彼らにはギャンブルを辞めるという発想はないみたいです。

犯罪のパターンはいくつかありました。詐欺、窃盗、強盗。どれも短絡的すぎて共感は全くできませんでしたが、彼らならやりそうだなぁと思わせてくれました。

 

表題作の「左手首」は美人局をしようと、彼女を使う男の話です。

男を連れ込むまではよかったものの、連れ込んだ男はヤクザでした。

強請り担当の男は思わぬ反撃にあい、ぼこぼこにされますが、彼女は男を助けるためにヤクザを殺します。

死体の処理はバラバラにしようという短絡的なものです。その発想はありがちですが、それをされると警察の捜査は難航してしまいそうな気がします。

 

オチはどれも似たようなものなのですが、それでよかったような気もします。

これはマンガ・はじめの一歩での言葉ですが、「黄金のワンパターン」というやつです。

マンガの中では「分かっていても避けられないパンチ」という意味です。ここでは「オチが分かっていても面白い」という意味で使います。

これに当てはまるのは「水戸黄門」「池袋ウエストゲートパーク」「アンパンマン」などです。本書も当てはまります。

しかし、あまり声を大にして面白かった!とは言えないタイプの小説でした。

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