スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

「ジャッジメント」小林由香

目には目を歯には歯を、とはよく聞く言葉ですね。

その考え方は「やられたらやり返す、倍返しだ!」とは対極をなすものです。

目をくり抜かれたのなら、そいつの目をくり抜きましょう。歯を取られたのなら、そいつの歯を取ってやりましょう。

というよりも、歯を折ってしまった罪には自らの歯で謝ろうね。というものだったみたいです。半沢直樹はまったくもってもう……。

本書では20X Xの日本で新しい法律ができた世界を描いています。

この法律は必要なのでしょうかね。ずっと考えてしまいました。

 

《大切な人を殺された者は言う。「犯罪者に復讐してやりたい」と。

凶悪な事件が起きると人々は言う。「被害者と同じ目に合わせてやりたい」と。

凶悪な犯罪が増加する一方の日本で、治安の維持と公平性を重視した新しい法律が生まれた。

それが『復讐法』だ。大切な人が殺された時、あなたは復讐法を選びますか?》

これは冒頭からです。

復讐法を使える人は裁判で認められた人だけです。

そして執行は犯罪者から受けた被害内容と同じことをできます。

本書は5章でなっていて、語り手は応報監察官の鳥谷文乃です。

鳥谷は復讐人が認められた行為以外を取り締まります。

現行法で言うところの死刑執行官みたいなものでしょうか。監察官の存在もドラマになりそうです。

 

第1話から過激です。

事件はリンチ殺人です。16歳の少年が19歳の4人の少年に拉致され激しい暴行を受けたあと殺されました。

殺害動機は、親父狩りの現場を目撃され、注意されたことに腹を立てたらしいです。

犯人たちのうち、主犯格は禁固15年もしくは復讐法を受ける、うち1人は実刑、うち2人は少年院に送致です。

主犯格以外の判決は軽すぎますね。

あり得る事件のあり得る動機で犯人グループは許せませんが、犯人は死刑でいいとは思えないのは僕が第三者だからなのでしょう。

被害者の父親が復讐執行人として選ばれて、父親も復讐を選びます。

しかし、加害少年にも母親がいます。

国が死刑を決めたのなら我が子を救うのは難しいですが、復讐法ならば、父親を説得できれば我が子が死ぬのを防ぐことができます。

被害少年の父がくだす判決はいかなるものであっても僕には何も言えないです。

正直言って復讐をした人は褒めることは絶対にできないですし、なんか嫌です。

ただ、法で決められている以上、選択した人は悪くありません。しっかり考えて決断したことでしょう。

改めて、毎日人の将来に関わる裁判官さんには感謝です。僕には絶対にできない仕事です。

 

他の話には、祖母殺しの娘が被告、復讐人は母親という話や通り魔への復讐では心神耗弱による無罪の被告にも復讐法が適用されています。

ネグレクトの両親へ、その子どもからの復讐の話もあります。

絶対に明るい気分にならないことは間違いなしですが、重いテーマを扱うだけの筆力が小林由香さんにはありました。

この法律ができないような、凶悪犯罪が起きない社会が1番なんですけどね。

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