スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

「殺戮にいたる病」我孫子武丸

いつかは書かなきゃなと思い憂鬱な一冊だ。

と言いつつもジャンルではベストオブベストに入れたのだが。

ミステリー好きならば、最高と評するかそれとも特長を認めつつも誉めることはできない作品だ。

本書は「十角館の殺人」と同じくらいの衝撃を放ち、後世まで残るだろう。

だが、正直言って、これが大好きっていう人には警戒心が生まれてしまう。

女性を酷い目に合わせ過ぎるのだ。本書は最後まで読めない読者も多発したかもしれない。

僕は岡本孝子さんの「夢をあきらめないで」を聞くたびに本書を思い出す。トラウマだ。

この曲を聴きながら、女性の首を絞め殺す男を想像してしまうのだ。

 

残虐な殺人シーンは幾度かあった。

CDで「夢をあきらめないで」をかけ、SEXしながら、首を絞め殺害する。

男はその瞬間が気持ちいいし、愛を感じる。相手も俺のことを好きなんだと信じている。

しかし、その気持ちいい瞬間はずっとは続かない。

だから、切り取るのだ。

 

おえってなる人は多いだろう。僕もそうだった。

しかし、我孫子武丸さんは人形シリーズでコメディ的な作風もできる。

自分が書きたいものと読者が求めているもののバランスをとりながら小説を仕上げることがてきるのだ。

僕は残虐な殺人シーンに嫌気がさし、次同じことされたら読むのをやめてやる、とぷりぷりしていた。

だが、その気持ちを無視してまだ殺人を続ける犯人。

僕は警察はなにをやってるんだという憤りでまたぷりぷりしている。

でもここでは殺害シーンを細かくは描かなかった。

おかげで最後まで読むことができた。最後には超ド級の叙述トリックがあったのだから読めて良かった。

残虐な殺人シーンを毎度書く必要はないと思ったのだろう。この辺りのバランス感覚が筆者にはある。

 

内容も少しは書いた方がいいだろう。

東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。

犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。

この物語は犯人が捕まるエピローグから始まり、三人が語り手を務める。

「犯人である蒲生稔」彼は殺人で愛を感じている。

「雅子」は息子が殺人犯かもしれない不安で生きた心地がしていない。

「樋口」パートは唯一落ち着くことができる。

彼は元刑事で稔を追う。君だけが頼りだ。殺人をとめろ。

 

レビューを書いている人がものすごい多い作品ですが、そのほとんどにエログロに注意!とありました。

決しておすすめとは言えない一冊ですが、本書で扱う叙述トリックは日本文学史に残るのではないかと思います。

f:id:oomori662:20191010003532j:image