伊坂作品の「アイネクライネナハトムジーク」の映画が絶賛放映中ですね。
アイネクライネについてもいつかは書きたいと思っているのですが、今回紹介したい「死神の精度」は恋愛シーンで1番好きなセリフがあったので、書きたくなりました。
死神といえば僕の尊敬する先生である地獄先生ぬーべーの魂を持って行ったことで有名な存在ですね。死神に会うと死んでしまうイメージがあります。
でも伊坂幸太郎さんが書く死神は愉快で憎めない存在でした。
死神は地名の名前をつけて(本書では千葉が語り手です)対象者に近づき、可か見送りかを判断します。
可なら死んでよし。見送りなら生かしとこうです。
大抵の死神なら無条件で可としますが、千葉は対象者を見た上で可にします(笑)
6つの短編と伊坂幸太郎さんならではの仕掛けが特徴の本書ですが、特に良かったのは「恋愛で死神」でした。
これがあるだけで、僕は本書を最高の恋愛小説として強く!おすすめします。
物語よりも名言を紹介したいので、ざっとあらすじを紹介します。
今回、千葉の調査対象は荻原という男です。冒頭で絶命の危機に瀕してますが、これはバレてもいい情報です。登場人物は死ぬ予定の人たちですからね。
荻原は片想い中の娘を守るために身体を張るのです。
はい。あらすじ紹介終わりです。
ここからは名言の紹介です。この章は名言のオンパレードだったのです。
まず、荻原がバッハと言ったのを千葉は大バッハ言い直したところで心を掴まれました。僕も大バッハと呼びます。
「人間が作った最悪のものって、戦争とは除外品ですよね。」これは彼女がバーゲンセールのとき、除外品と出会ったときの感想です。
「微妙な嘘と言うのは、ほとんど誤りに近い」これは荻原のセリフ。この言葉が僕に根づき、嘘をつかれても怒らなくなりました。
「人間が作ったもので一番素晴らしいのはミュージックで、最も醜いのは、渋滞だ。」これは千葉。
一番好きで僕の恋愛観を作ったのが次の荻原のセリフです。
「例えば、自分と相手が同じことを考えたり、同じことを口走ったりするのって、幸せじゃないですか」
こんな恋愛ができたら幸せな気がしますね。
荻原の最期は幸せだったのでしょうか。
他にも伊坂風味の推理ものがあったり、ヤクザと死神があったりと、とても賑やかでした。
あと、人の最後を描くドラマには老人がでてくるのがパターンです。それは毎度深い感動を与えてくれます。
やはり、人は最後、「何のために死ぬのか」はとても大事なことだとあらためて思う一冊でした。
どの話も伊坂幸太郎さんらしくて最高の一冊でした。
映画では金城武さんが死神を演じましたが、あまり楽しめませんでした。
短編を2時間でギューっとするのは難しい気がしました。