「神様のコドモ」 山田悠介
※今回はたくさんの山田悠介さんに対する悪口みたいなものが出てきますが、僕は山田悠介さんを尊敬しています。それが伝わればなによりです。
山田悠介さんは自費出版の世界では一番の成功者ではないでしょうか。
著書の「リアル鬼ごっこ」は大ヒットを記録して累計発行部数は200万部を超えています。
読みやすさとエンタメ性が中高生にうけて、中高生が読む作家のトップクラスにいます。
僕自身は5冊ほど読みましたが、最後までは読みきれず始めと終わりだけ読んでとても読みやすい作風だなという印象を抱いています。
作風を一言で表すとマンガの「遊戯王」です。
このままでは雑な紹介になってしまうので付け足しますが、中学生が考えそうな「命がけのゲーム」が得意ジャンルのように思います。
デビュー作の「リアル鬼ごっこ」では全国の佐藤さんが鬼に追いかけられ、捕まると処刑されます。
始まりからどうでもよく、(間は飛ばして)ラストも中二病全開だったことに衝撃が走りましたが、当時は読まなきゃいけないような気がしていました。
さあここからは山田悠介さんの良いところです。
僕が思う山田悠介さんの良いところは手に取りやすいところと、圧倒的な読みやすさです。
山田悠介さん自身、メッセージ性よりはエンタメ性を重視していると語っています。
僕も上の段落で少し書きました。始まりと終わりは面白いです。
尊敬ポイントは結果を出すところです。
野球で例えるならフォームを誰にも習わないまま、めちゃくちゃなままでホームラン連発、豪速球を投げれるといったところでしょうか。
フォームを誰かに教わる気は無かったみたいですが(笑)山田悠介さんさんは校正をしないことで有名なのです。
新しい小説のジャンルYAMADAを開発したというレビューもありました。一度「山田悠介 誤用」で調べてみて欲しいです。大人気なことがわかります。
本書はショートショートの小説です。しかし、ショートショートとはいえず、4〜6ページ程の短編小説の書き始めみたいな話が多かったです。
タイムカプセルを掘り起こしたら未来からの手紙が入っていた、同窓会で再会したあいつはそういえば動物殺しだったなど、続きが気になる話が多かったのが印象的な一冊でした。
その他の内容は神様の子どもが日本にイタズラしたり、助けたりする話が多めです。その設定は中二感があってとても良かったです。
それと、始めて山田悠介さんの本を読み切りました。
自分で自分を誉めたいと思います。というのは冗談で本書は山田悠介さんの本領が発揮されているのだと感じました。
やはり、書き出しと興味が持てる設定作りは日本の作家さんの中でもトップクラスです。
ところでリアル鬼ごっこでの誤用はとても才能を感じさせます。
特に好きなのを2つ紹介します。
「遠く離れると横浜の巨大な遊園地ができた」
他にも「辺りをキョロキョロさせる」こともできます。
このような特殊能力系の間違いがいくつかあります。
「もの凄く機嫌が悪く、不機嫌な顔をして」
このようなリピート系の間違いも多いです。どんな顔なのか気になりますね。
本書にはこのような大きい間違いはありませんでした。
ちょっと残念な気もしますが、さらに読みやすい作風に進化しているのかもしれませんね。