スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

裁判員裁判を昔話でやってみました

「昔話法廷」 NHK Eテレ「昔話法廷」制作班 編

今井雅子 原作  イマセン 法律監修

 

タイトルをユーチューブっぽくしてみました。

本書は裁判員裁判を昔話に当てはめて行ったものではなく、昔話の世界には裁判があってそこで行われた裁判記録です。

1時間かからずに読み終わることができ、脳の回転数はここ一年で最高を記録したのではないかと思うほど、頭を使うことができた名著だということは先に言っておきたいと思います。

僕はこのような裁判の物語が好物なのです。

 

扱う事件は3つだ。

「三匹のこぶた」の三男による殺人。三男には殺意があったのか、正当防衛なのかが争点だ。

次は「カチカチ山」のウサギによる殺人未遂。ウサギには執行猶予を与えてもよいのではないかという裁判。

最後は「白雪姫」に毒入りのリンゴを渡した王妃による殺人未遂事件。王妃は姫にはめられたので無罪を主張している。

この事件はどうでもよかった。ので、先に書くことにする。

これは裁判開始の時点で王妃の負けだろう。

訴えられた時点で世論が姫に味方をしていることだろうから、王妃の罪は確定しているようなものだ。

ただでさえ被告の有罪確率は高い。毒入りのリンゴに王妃の指紋が付いてなかっただけで、無罪は無理だ。

無罪があるとすると、姫の悪事を全て暴露して姫が王妃をハメようとした証明が必要だ。

日頃から魔法の鏡で私が一番美しいことを確認していたのを見られていた王妃には難しいだろう。

さてこんなことを考えながら事件を検証するが、僕は大真面目だ。僕が裁判員に選ばれたとして、裁判と真剣に向き合うためには社会と時代を理解しようとしなくてはいけない。

正義など状況や立場によって変わる。

 

「三匹のこぶた」事件では長男と次男の家が狼によって吹き飛ばされ、2人は三男の家に駆け込む。

三男はレンガ作りの家を封鎖したが、煙突から狼は侵入する。

しかし、降りた先には湯が沸騰した鍋があり、狼はそこに入ってしまいぶたたちによって蓋をされ、亡くなってしまう。

果たしてこれは正当防衛が成立するのかが争点だ。

まず最初の疑問は狼は豚を食べてはいけないのかということ。

冒頭には殺人事件と書いてあるからこの世界には動物に人権が与えられているのだとわかる。

豚肉を食べることがひどいとされる世界ならば狼側の負けだろう。

次の事件のウサギとタヌキは人間の大きさで描かれている挿絵があることからこの世界の動物は巨大化していることもわかる。

だとすると地球の生き物の7割は虫だから大変なことになりそうだし、ニュージーランドでは人間より羊の方が多いから羊が法律を作っていそうだなどとも思ってしまった。これは関係ない話だ。

最大の疑問はなぜ、長男と次男は警察に保護を求めなかったのかということ。

狼は傷害・建造物損壊・建造物侵入で有罪にすることができるのに(もしかしたら殺人未遂も適用されるかもしれない)こぶたたちは狼を殺すことを選んだ。だとすると殺人かもしれない。

あと、狼のカレンダーには7月7日のところに午後3時から豚肉パーティーと書いてあった。

これは三男が狼を誘い出して殺すための殺人の証拠なのではないかと検察は言う。

そこよりも気になるのは「豚肉パーティー」という文言に反応しない裁判員たちだ。

ちなみに裁判員は女子大生を含む人間たちだ。

この世界ではぶたに人権を与えておきながら、豚肉を食べてもいいことがわかるシーンだ。

食べてもいい豚と食べては罪になる豚がいるのかもしれない。だとしたらどう見分けるのか。

家を作れない豚はただの豚なのか。

判断するには警察の役割という情報が抜けている。

 

2つめの「カチカチ山」事件ではタヌキへの殺人未遂でウサギが被告だ。

動機はタヌキによって殺されたおばあさんの復讐なのだが、これは背中に火をつけたり、池に沈めようとしたりとウサギの遊びが過ぎた。

殺してしまってから自首をし、反省を見せた方が執行猶予の可能性が高かったように思うのだが。

しかし、この世界では動物と仲良くなるのも怖いなぁ。タヌキは化けることができる。

誰も信じられない世界だ。

 

そんなことを考えながら読んでいましたとさ。

f:id:oomori662:20190914183702j:image