スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

「MAMONO マモノ」 柴田哲孝

柴田哲孝さんは僕の大好きな作家さんです。

もしかしたら1番好きかもしれません。

作風としては新聞記者が書く動物パニックです。実際にあった事件も扱いながらフィクションとして、壮大な世界のエンターテイメントに仕上げます。

卓越した取材力と筆力で物語に抜群のリアリティを持たせる手法にはいつも唸ってしまいます。

 

さてそんな柴田哲孝さんが書く本書は全ての話に動物が関わる7つの短編集です。

ミステリー、ホラー、怪談など、多様な話が散りばめられていて最後まで楽しむことができました。

いくつか紹介したいと思いますが、そのうちの一つには読みながらつい、叫んでしまったものがありました。

女性の読者の方が減りそうな気がしますが、本書が放つ怖気を共有したいので、勇気を振り絞って書きます。

 

「カラスは何を見たのか」

老刑事は定年後の暇を持て余し、家にやってきたカラスに餌をやり、カースケと名をつけ可愛がる。

そんな中住んでいる町で事件が起こり、カースケは事件の証拠品を老刑事に運ぶようになった。

老刑事とカースケは手を組み、事件の謎に迫る!

カラスはイルカと並ぶくらい頭が良いらしいのだが、生態は謎の部分もある、ミステリアスな生き物だ。

最後カースケが「・・・ケイジサン・・・イイヒト・・・オツカレサマ・・・」と話したこともうなづける。

 

「神隠し」

これは実際に起こりそうな事件だ。

とある街で赤ん坊の連続失踪事件が起こる。

捜査を進めていくと遺体の一部が見つかるのだが、それには〝喰われた″跡があった。

柴田哲孝さんの特徴的な書き方の一つに擬人化がある。

この話でも子どもを喰べたものを彼と表している。

彼については、食事の周期、ごはんの探し方、狭角の視界など細かく書かれている。

正直、彼に罪はないように思うが、死刑は免れないだろうな。

 

「人間狩り」

さて、強烈な怖気の物語です。

直接は書かないので、想像してみてください。あと、クレームは勘弁してください(笑)

サバゲーのサークルで集まる大人の男女4人は無人島でゲームを行おうとしていた。

(乱痴気騒ぎが楽しいんだって。そんなサークルはうらやま、じゃなくてけしからんな。)

会場に選んだのは地元の人は御喜武(ごきぶ)の離島と呼んでいる無人島だ。

その島はかつて鰻の養殖で栄えていた。飼料が残っていたが、メンバーの1人によるとその飼料は成長を早めるが、肉や骨が柔らかくなり、食べた人間にも害を及ぼすので、使用禁止になったそうだ。

そんなこんなでゲームを始め、養鰻場の跡地で宴の準備をする4人。

そして、メンバーの内の1人が姿を消し、恐怖の夜が始まる。

ここからは巨大生物との戦いだ。どうやら飼料を食べた鰻以外の生物は巨大化して、元々いた島民を食べていたようだ。アメリカのB級映画によくある設定だが、柴田哲孝さんで読むとものすごく怖い。

敵は素早く、カサカサと動く。そして、たまに飛ぶ。体長は80cmもある。

小さいそいつでさえ恐ろしいのにでかいそいつとは絶対に戦いたくない。

解剖するシーンもあるが、これをまともに書ける柴田哲孝さんは本当に凄い。

犠牲者を出しつつも、何とか勝利したサバゲーチームだったが、敵は他にもいて・・・。

本当に恐ろしい話だが、計3度読んでいる僕のことを誰かに褒めて欲しい。

 

他にも猿と不思議な関係になった男の話や、ヒグマを追う猟犬の話も面白かったです。

どなたかとこの怖気を共有したいです。書店には売ってないと思うので、ネットで手に取っていただけたらと思います。

今までに読んだ1番おぞましい本を更新するかもしれません。

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