スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

とある営業マンとの攻防(「悪人 上」)

「悪人 上」 吉田修一

 

吉田修一さんはミステリ作家としてもトップランナーですが、僕は「女たちは二度遊ぶ」で出会いました。

こちらは女性の機微を的確でいて、情緒的に描いた名作でした。

吉田修一さんは人を書くのが天才的に上手いです。

しかし、本書はそれをはるかに上回る名作でした。

しかも、ある一文が今でも僕を締めつけます。それは口に出しては訴えられるレベルの一文でしたが、心に残って離れない一文でした。

(次回の「悪人 下」で紹介します。)

 

まずは本書を読んでの感想です。

本書には悪人しか、出てこなかった印象にあります。

ただしそれは善良な市民という大きなくくりの中で、特殊な環境と状況に置かれた人が、たまに悪いことをしてしまうところを切り取ったのだと思います。

この書き方だとちょっと(いや、かなりか)、分かりづらいので、逆に言います。

登場人物の全員がいわゆる、普通の人です。

どこから見るかで悪人になるのだと思いました。

本書ではたくさんの普通の人が、悪人になる様子が情緒豊かに書かれています。

殺人を犯した裕一もどこにでもいそうな男でした。

被害者はいらないことをして裕一を煽ってしまいました。

そして、最後には本書は逃避行がある、愛の物語でもあります。本当に名作です。

ただ、1つ言っておきたいのは、裕一は庇いようが無い、大バカ野郎です。何度本を片手に「殺さないでよかったのに」と言ったことか分かりません。

とっさの時に殺人を選択をしてしまったということは暴力野郎の素質があったと言えるのでしょう。

 

ここからは僕の物語です。下の会話は実話です。

これは温厚で知られる(?)僕が不動産の営業マンに2時間程説教を受けた話です。

テーマは「悪人とは誰か」とつけたいところですが、たいした話ではないです。

 

玄関のチャイムが鳴り、外に出ると、「不動産のことでお話が」と20代前半くらいの若い男。

「僕には関係ないので」と返すとすかさず向こうはキレ始めます。

営業マン「私まだ何も話してませんよね。話を聞かずに関係ないって酷すぎませんか?」

僕「営業だったら結構です。お帰りください」

営業マン「だからどうして営業だと決めつけるんですか?お兄さんは家を買うんですか?買わないですよね。このアパートには買うような人は住んでいませんよ。なのに僕が話しに来てるんですよ。僕のお客様は部長レベルの方ばかりなんですよ。みんな僕の人柄がいいって言ってお客様になるんですよ。まずは話をしましょうよ。お兄さんは何か自慢できることあるんですか?」

僕「(1分ほど悩む)コンビニで会計したときに店員さんにお礼を言います」

営業マン「そんなの当たり前じゃないですか。僕だってそうしてますよ。今、僕に対して優しくないのにそれは信用できないですよ。まずは、親切で謙虚に話を聞ける人になった方がよくないですか?とりあえず部屋で話させてください」

僕「それはできないです。用件を言ってください」

営業マン「だからそれを伝えたいので、入れてくださいと言ってるんですよ。僕が来たのはお兄さんが知らないと損することがあるから伝えに来てるんですよ。こんな対応されたのは初めてですよ。あなた、酷すぎませんか?」

僕「分かりました。じゃあ(ここで)用件を聞きます」

営業マン「そんな態度じゃあ話せないですよ。とりあえず部屋に入れてください。ゆっくり説明しますよ」

この後僕は「用件を言ってください」「名刺をください」「帰ってください」と主張し続けますが、営業マンも「あなたは酷い」「部屋に入れてくれ」「名刺は信頼関係ができてから渡す」と平行線です。

気づけば2時間が経っていました。

最後には「あなたそんなんだから、出世できないんですよ」と捨て台詞を残して帰って行きました。

 

強く言い返すことができなかった自分に対して腹が立ちますが、営業マンの彼から見たら僕は悪人です。

 

こんな愚痴を見るために覗いてくれたんじゃないですよね。

次の「悪人 下」ではもっと本について語ります。

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