スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

過去一番で怒りが湧いた小説

「イノセント・デイズ」 早見和馬

 

「本書の帯には衝撃で3日間寝込みました。」と書いてありましたが、僕は怒りで3日間はぷりぷりしていました。

やるせないというかなんというか、死刑になった幸乃がとても許せなかったのです。

そんな時には本書のことを語って聞いてもらうのが一番です。僕は書店員で働いているとき、時間があると話を聞いてくれる職場の同僚を捕まえては本の話を聞かせます。

そして、本を貸したり買わせたりしていました。

改めてあの時の素敵な仲間たちに感謝です。

今回は趣向を変えてその時の会話で書きます。

登場人物は僕とAさんです。Aさんは女性です。

段落を変えたら別の日ということです。

いつもは読み終えた本もしくは読み切れなかった本について話しますが、本書だけは途中経過を聞いてもらっていました。きっと、それだけぷりぷりしていたのだと思います。

 

僕「いや、この本すごいよ。(ページをめくる)手が止まらなくてさ、今日電車乗り過ごしちゃった」

Aさん「そんなにですか。私も気になってました。どんな本なんですか」

僕「まだ途中なんだけどさ、一人の女性がさ、死刑になるんだけど、なぜ死刑になったのかって話かな」

Aさん「へ〜、謎が深そうですね」

僕「そうだよね。裁判の判決文と被告は、ずいぶんと違う部分があるのよ。また報告します」

 

僕「この前の女性がさ」

Aさん「あの、死刑になった人」

僕「そう。放火して殺してるのよ。奥さんとその子どもを」

Aさん「じゃあ(死刑は)、仕方ないですね」

僕「そうだよね。合わせて3人(殺害してる)。でも彼女が悪い子のようにはなかなか思えなくてね」

Aさん「そうなんですか?どんな子なんですか」

僕「一言でいうと普通な子の印象かな。流されてヤンキーグループに入っちゃったり、幼い時の環境が過酷だったりするんだけど、健気に生きてる感じ。裁判で言われるほどの悪いことはしてない」

Aさん「実は優しい子だったパターンですね」

僕「まぁそうかな。ちょっとまずいのは元彼をつけまわしちゃったことかな。ストーカーみたいに」

Aさん「え、それでも、彼女はいい子ですか」

僕「好きだからこそ、みたいなやつだと思うんだ。元彼からはDVを受けてて依存体質にさせられたのかもね」

Aさん「そんなもんですかね。真面目すぎたのかもしれませんね」

僕「そうかもしれないね。また報告します。もう少しで読み終わるよ」

 

僕「いや、読み終えてさ」

Aさん「あの子、どうなりましたか?真相は分かりましたか」

(Aさんの要望もあり、重大なネタバレを話す)

僕「いや、ムカムカしちゃってさ。」

Aさん「悲しいですよね」

僕「そう。今までで一番悲しい話。あと激しい怒りね」

Aさん「怒りはなににですか」

僕「死刑になった子にさ。もっと抵抗しろよって」

 

幸乃は裁判ではすべてを語りませんでした。

そのことに僕はぷりぷりしてしまったのです。

警察や検事はときに間違うことはありますが、事実を明らかにしたい気持ちは強いです。

そして裁判官は中立の立場で、弁護士は幸乃の味方で、幸乃の言うことに耳を傾けてくれるでしょう。

それなのに幸乃は裁判を自分を罰することに使いました。それが許せなかったのです。

読み終えたときはこの本で数日は頭の中がいっぱいになりました。

話を聞いてくれたAさんがいなかったら大変なことになっていたかもしれません。本当に話を聞いてくれたことに感謝しています。

Aさんが言った「それでも(ストーカーをしてても)、彼女は、いい子ですか」と聞いてきたことが印象的で会話を覚えていました。

もちろん多少の違いはありますが、こんな流れでした。

ちなみにこの後Aさんは本書を買ったとか、買わなかったとか。

多角的な視点で死刑囚になった女・幸乃を見ていく、衝撃が強い作品です。

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