スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

「桜のような僕の恋人」 宇山圭佑

書店で働いていたときロングセラーだったのが、本書でした。

もう毎週のように集英社文庫の営業の方が、お店に来ては本書の素晴らしさを伝えにきました。

根負けした僕は、大量に取り寄せたところ爆発的なヒットはしませんでしたが、少しずつ売れ始め、定番商品となりました。今ではどこの書店にも置いてあるのではないでしょうか。

 

物語はタイトルの通りです。

本筋として、美容師の美咲に恋をした晴人の話なのですが、美咲は人の何十倍もの速さで歳を老いる難病にかかってしまいます。

これは恋愛物語の鉄板で黄金のパターンですね。

ちょっと異質なのは二人の交際のきっかけでした。

晴人は美咲に一目惚れをして、デートに誘うきっかけを作りに美容室で働く美咲に髪を切ってもらいます。

晴人は思いが高ぶり、髪を切ってもらってる最中にもかかわらず振り向くと、はさみが鋭い音を立てて・・・、晴人の左耳の耳たぶを切り落としてしまいます。

すごく痛そうですね。僕もこの時は薄目でしか読めませんでした。

なんとか治療を終え、平謝りの美咲を晴人はデートに誘います。もちろん美咲は断ることはできません。

少し卑怯な気がしますが、僕的にはなりふり構わない晴人の姿に本気さを感じて好感が持てました。

宇山圭介さんの本には、ファンタジーレベルなドジっ子がたびたび登場します。耳たぶ切り落とし事件は警察沙汰でも良いものを交際のきっかけに変えるところにユーモアのセンスを感じてしまいます。

 

二人の交際が始まり、お互いの夢を語り合う中で春人はかねてからの夢だったカメラマンの夢を追いかけます。

そんな最中美咲は発病してしまいます。病気は一年で何十年もの歳をとる病気です。

美咲は晴人に会いたくなくなりますが、以前会った時より、美咲は相当年老いているのですから会いたくない気持ちもわかる気がしますね。

二人の気持ちも歳もすれ違う中、晴人はどうやって美咲と距離を縮めようとするのかが、見ものです。

桜は美しいですが、枯れるのも早いです。2人の物語にはカメラや手紙といった小道具がよく合います。

ラストは涙無しには読めない、かもしれません。

 

物語もとても素敵なのですが、僕が一番に惹かれたのは、正直で誠実な書き方でした。

後の感動のためならごまかしたり、真実を隠したりする小説が多い中、本書では嘘がなく、真っ正面から二人を向き合わせます。

その手法に好感が持てると同時に、より物語に読者を引き込み、感動を大きくしているのだと思いました。

間違いなく、名作です。おすすめの恋愛小説です。

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宇山圭介さんは大好きな作家さんです。

5月21日に書いた、宇山圭介さん著の「君にささやかな奇蹟を」 は2018年に読んだものの中でNO1でした。

その時はあまり魅力を伝えられていなかったので、大幅に加筆修正しました。

できればそちらも読んでみてください。