本書は一世を風靡したドラマの原作本です。
ドラマの野ブタは堀北真希さんが演じる女性でしたが、原作の野ブタは男です。
太っている上にパッとしない見た目の野ブタはいじめにあってしまいます。
そんな野ブタを変えてやろうと修二がプロデュースしていきます。
これだけ見ると修二はいい奴に見えますが、修二はなんでもそつなくこなす文武両道タイプで人気者、その内面は人を見下す冷めた奴です。
野ブタを助けたのはただの暇つぶしです。
修二がなかなかにやなやつやなやつだったので、読破した人の評価は二分化されたことと思います。
そもそも「俺はイケてるグループにいるから」と他人を見下すのは傲慢以外の何者でもありませんね。
しかし、学校という特殊な密閉空間では多数派かもしれませんね。みんな自分のキャラやヒエラルキーのどこにいるかを理解して行動しないといけません。
それができなければ、受け入れられなければ「あいつは空気が読めない」と言われてしまいます。
野ブタもそんな風にいじめの対象となったのでしょう。
嫌な世界ですが、よくあることのようにも思えてしまいます。
※ここからラストシーンのネタバレがあります。
ドラマではさわやかな雰囲気が残るラストでしたが、原作では違います。
クラスメートのピンチを助けなかった修二は普段の冷めた心も見透かされ、クラスからはぶられてしまいます。
誰がいじめの対象になるかわからない、気持ち悪いクラスですね。
修二は転校することで自分を守ると同時に今度は自分をもっと上手くプロデュースすることを誓います。
このラストが評価を二分化させた原因だと思います。
ちなみに僕の中で、これはハッピーエンドです。
クラスメートに謝りたくない、自分を変えていこうとは思わない、環境のせいにし、環境を変えようとする。
最後まで修二を徹底して演じる彼の姿に一本気を感じました。
転校先では人をバカにせずうまく馴染んでいってほしいものです。
ドラマは修二と彰として野ブタをプロデュースして、曲も大ヒットするなど、一世を風靡しましたね。
原作との違いでよかったのはは野ブタを女性にしたことと、彰を登場させたことだと思います。
ドラマも小説も多くの人の記憶に残り続ける、名作です。