特殊能力っていいですよね!
テレキネシス、テレパシー、瞬間移動。今ドラマでやっている「ボイス」にでている真木よう子さんは超聴力の持ち主です。
時を止める能力とかもいいですが、現実的な能力もかっこいいです。
視力5.0とか絶対音感とか瞬間記憶能力なども超すごい能力として超能力に含めます。
しかし、中には本人が望まない、そして理解しがたい能力を持っている人がいます。
本書はそんな話です。
キーマンとなる司は人の声に色が見える。
彼は真実を話していると白、嘘をついていると赤など、声に色を感じるため、嘘を見破ることができる。
このように五感のどこかの感覚が刺激されると異なる種類の感覚も刺激される能力のことを「共感覚(シナスタジア)」ということを知ることができた。
形に味を感じたり、文字に色を感じたりする人もいるみたいだ。
共感覚を持つ人の中にはそれを快適に感じる人もいるらしいが、司はそうではなかった。
大人が放つ汚い言葉の数々に反発し、暴れてしまうものだから知的障害者の福祉施設に預けられてしまう。
その施設内で少女が自殺してしまうのだが、司は少女は自殺ではないと訴え、暴れてしまう。
本書の主人公は新人臨床心理士の佐久間美帆。
佐久間は司の症状を緩和させるためにカウンセリングを行おうとする。衝突がありつつも、次第に打ち解けていく二人。
次第に佐久間は司の証言と能力を信じ始める。そして調査を進めるうちに大きな闇の存在に気づく。
果たして佐久間は真相に辿り着けるのか。
見どころは冒頭とラスト。
少女は手首を切り司と共に救急車に乗っている。
そこで少女は死んでしまうのだが、救急隊員には死亡の診断をすることができないのにも関わらず、司には少女が亡くなったことがわかる。
司の能力に興味を持つきっかけになると同時によくニュースで「病院に運ばれ死亡が確認されました」という文言を聞くのはそういうことだったのかとしっくりきた。
ラストは大きな闇対佐久間チームといったところだろうか。佐久間は仲間を集めるのが上手い。流石は臨床心理士だ。
弱点はお色気シーンに意味を感じなかったことかな。知的障害と性の問題を扱いたかったのはわかるのだが、本書に必要だったのかどうか。
闇の中には現実で既に起きているかもしれない補助金を巡る問題も含まれている。
僕の今持つ能力は文庫本を片手に座り、ウトウト眠ってしまった時に本の内容と近いものの全く違うストーリー展開が脳内で映像化されるというものです。これが発展して読書中にウトウトすると犯人がわかる能力が欲しいです。
究極のネタバレ能力を一人で楽しみたいなんて思う心は中2病にかかっているのかもしれません。

