スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

「サウスポー・キラー」 水原秀策

水原秀策さんはこのミス大賞でデビューして今や僕の中でこの作家さんの作品は全て持っておきたいリストに入っています。

水原秀策さんを一言でいうとプロフェッショナルです。

プロの作家という意味ではもちろんなくてプロを描くことが得意な作家さんです。

本書では野球選手を、別の著書では棋士やピアニストを主人公に選んでいます。

ペンネームは伝説の大棋士本因坊秀策からとっている気合の入りようです。水原さんも囲碁が強いみたいです。

基本的には何がしかのプロが事件に巻き込まれる正統派ハードボイルドの作風です。

 

本書の主人公は人気球団の投手の沢村。サウスポーの先発投手だ。

ある日、沢村の「暴力団との癒着」と「八百長試合」を指摘した告発文章が球団とマスコミに送りつけられ、身に覚えがないにもかかわらず沢村は自宅謹慎処分を受けてしまう。

自身の潔白を証明するため、告発文書の調査を開始する沢村。やがて彼がたどりついたのは周到に計画された周到な陰謀だった!

 

記憶に新しいが野球賭博が世間を騒がせた。その世界にどっぷりと浸かってしまっている選手は信用するのが難しいだろう。

自分のミスが相手を勝たすためだと思われてしまい、もはや試合に出るだけで、八百長を疑われてしまう。

沢村も巧妙な手口で八百長の片棒を担ぐ選手だとされた。暴投しただけで騒がれてしまうのはかわいそうだ。

でもこれは現実でも起きそうなことだからとてもリアリティーがあると感じた。

ミステリー部分が弱いのは欠点だが、それをはるかに上回る長所が水原秀策さんにある。

それはプロの仕事の取り組み方だ。投手の練習は強い球を投げるだけでなく、打者からどう見えるのか計算して投げるのも大切だと沢村。

ラストの試合の描写はとても緊迫感があって手に汗を握りながら読むことができた。四球を出しまくるが、何とか抑える。そんなクレバーな試合展開は僕の好みにも合っていた。

ミステリーの弱さや犯人がすぐにわかってしまったことなどはもはやささいなことであった。

 

とても大満足な一冊だったのですが、直球のことをストレートと表記するのが大半を占めるなか、本書ではストレイトと表記しています。

そこだけは最後まで合わなかったなと思います。

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