スーパーノヴァの読書日記

主に本について書いています。たまにドラマや音楽や映画についても語ります。気軽にコメントいただけたら幸いです。

この一文が!! 3選

この一文がすごいランキング(僕が作ったランキングです。)第一位は「十角館の殺人」ですが、他にも多数の「この一文がすごい」本があります。

その他の二冊にこの一文で読めなくなった本を加えて三冊を紹介させていただきます。

 

「僕は奇跡しか起こせない」 田丸久深

最初は途中で読めなくなったもの。

設定はとても面白かった。幼なじみが突然亡くなったが、「キセキ」として今も姿を現す。

「キセキ」とは守護霊や天使のようなものなのだろう。奇跡に助けられる紗絵とキセキがイチャイチャしてるのは楽しかった。

読めなくなったのは紗絵が川で溺れている子どもを助けるために川に飛び込み、助けることはできたのだが、紗絵が気絶してしまうシーン。

この本では紗絵の一人称で書かれているのにこんな一文が。

 

わたしはそのまま、意識を失った。

 

これには考えさせられた。「私は眠った」が一番近い表現かなと思う。一人称の文にはできない言葉だ。

僕はこの本のことが残念で、実際に気を失ったことのある女性に話を聞くとその時は「ふってなる感覚」と言っていた。

そんな表現だったら最後まで読めたかもしれない。

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「田村はまだか」 朝倉かすみ

ここからは良かった本についてだ。

この本の素敵な一文はタイトルにもある

 

田村はまだか

 

だ。朝井リョウさんの「桐島、部活やめるってよ」もそうだが、このようなタイトルの本は大抵の場合、田村は出てこない。

小学校のクラス会で集まった男女五人が田村を待ちながら学校の思い出を語る。

常に寂しく美しい文学的な雰囲気のある小説だった。

それにしても、背表紙が上手いな。「それにつけても田村はまだか。来いよ、田村。」表紙も素敵だ。

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「10分間ミステリー THE BEST」 『このミステリーがすごい!大賞編集部 編

最後はアンソロジー。この手の本で次に追いたい作家さんをさがしている。

この本にも岡崎琢磨、中山七里、柚月裕子などなど有名な作家さんの短編が載っている。

そして出会った加藤鉄児さんの「五六」

これには電車の中で大号泣してしまった。あくびしてるふりで誤魔化したのだが、隠せていただろうか。

ミステリー短編集なのに家族小説を入れるのは反則だろう。

五六とは百人一首の歌番号のこと。

内容は老夫婦が口ゲンカをずっとしているのだが、彼等は百人一首という共通の趣味で繋がっている、というもの。

素敵な一文は百人一首の五十六番の歌詞の和訳だ。

ぜひ調べてみて欲しいところだ。

十ページもない短編で歌詞の和訳が一ページを占めている。それが全くくどくない上に老夫婦の愛が感動的だ。

僕はおじいちゃんとおばあちゃんに弱い。

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新しい取り組みでしたがいかがでしたか。

自分で読み返してみると本の悪口を書いているときが生き生きしているようにも見えますね。

それは良かった本について語る場所はたくさんあれど、悪く書く場所は自分で作らないといけないからかも知れません。