密室と聞くとドキドキしませんか?
「櫻子さんの足元には死体が埋まっている」 太田詩織
今までに密室が出てくるミステリーをたくさん読みましたが、本書では密室殺人を強く否定していたので印象に残っています。
密室殺人を扱う小説は数多くありますが、その多くが飛行機内や孤島など巨大な密室だったり、合鍵を複数人が持つような密室という状況自体が危ういものだったりします。
あと、何で密室にしたのと疑問に思ってしまうような話も多いです。特に探偵マンガに多い気がします。
ちなみにちゃんと密室と向き合った小説では赤川次郎さんの「三毛猫ホームズの推理」が印象的です。
本書は大人しい男の子と骨が好きな櫻子さんの話。ちょっとライトノベルに近いかもしれない。
ちなみにこのシリーズの舞台は北海道の旭川とあって様々な動物やきれいな風景が描かれている。地元北海道の書店では新作が出る毎に大々的に売られている、らしい。
現在では14巻まで出ているらしいが、僕は10巻で一時休止している。(このシリーズを読み始めたきっかけが10巻の表紙の櫻子さんが美しかったからです。不純な動機ですね。)
どれにも長めの話と短めの話が入っていてとても読みやすいのが特徴的なシリーズだ。
その中で今回紹介したいのが一巻の最初の話だ。
「美しい人」という章題がある。
語り手の少年・正太郎の母親が経営するアパートで、入居者の女性と連絡がつかなくなってしまったため正太郎は母親と櫻子さんと共にアパートへ向かう。
女性の部屋に入ると、室内は酷く荒らされていて、女性はベッドで亡くなっていた。しかし、窓は全て施錠され玄関のドアにはチェーンが掛けられていた。いわゆる密室というやつだ。
死亡した女性には目立った外傷は見当たらない。
彼女はなぜ死んでしまったのか?
警察は殺人を疑っていなさそう。櫻子さんも殺人ではないと言う。しかし、正太郎は殺人を疑ってしまう。
彼にとって亡くなった女性は優しくてきれいで憧れの女性だったのだ。
密室殺人などありえないことを論理的に諭す櫻子さん対彼女は殺されたんだ!と感情的に訴える正太郎は見ものだった。
美しい人 の話の真相は調べればすぐに出てきますが、櫻子さんが語る密室殺人についてはすぐには出てこなかったです。
この論理展開が面白いので、ぜひ見てみてほしいです。