「長い腕」 川崎草志
少し前に「心霊について」を書きましたが、今回はその続きみたいなものです。
僕の基本的なスタンスとして「ヤバイ人が一番怖い」というのは変わっていません。
今回は本書のキーワードに合わせて書いてみたいと思います。
本書のキーワードは3つありまして、その内の2つが「家」と「呪い」なのでまずはそこから書いていきます。
怖い話を2つ差し込みますが本書とは何の関係もありません。
ちょっと本書の内容と似てる部分があるくらいです。
3つ目のキーワードは最後に書きます。
というとバラエティ番組みたいですね。
まず、僕が一番怖かった「家」について。
(これは心霊現象を究明する特番からです。)
相談者の40代男性の家では最近母を亡くして以来、霊現象が頻繁に起こるという。
調べておさめてもらえないかという相談が番組に届き霊能者とスタッフが一緒に家に入る。
部屋は異様な光景だった。部屋中にお札が貼られていたのだ。
しかもよく見ると全国各地のお寺から集められていたことが分かる。話を聞くと相談者が集め、貼ったとのこと。
定点カメラを仕掛け家の中と窓の外を映すと数々の説明できない状況が録画されていた。
窓に張り付く顔の様なものや、和室の物が動いたり、変な音が聞こえたり。
最終的に霊能者はお札が多すぎて神仏がけんかしているとして、お札を少なくすることと先祖を悼むことをアドバイスして終えた。
僕が怖いと思ったのはいったい、何者が相談者に部屋一杯にお札を貼らせたのだろうかということ。
ここ、強調したいので、再度書くことにする。
僕には何者かが相談者にお札を部屋一杯に貼らせたのだろうとしか思えないのだ。
冷静に考えてみることにする。
霊現象に悩む。部屋にお札を貼らなければと思う。一枚貼っても霊現象は起こる。更にもう一枚、もう一枚と貼っていき、次第に壁一杯に貼ることとなってしまった。
相談者は間違いなくお札の力に頼ろうとしている。お札には霊を入らせなくする力があると信じての行動だったのだろう。
お札に力があるとすると壁の四方にお札を貼ってしまったら部屋の中に霊がいた場合閉じ込めてしまうことになるのではないだろうか。
そしてそれは彼と一緒にいたいと思った何者かが彼にお札を貼らせたとも受け取れないだろうか。
相談者が霊に怯えるのは当然のことで、お札があることで毎日霊の存在と向き合うことになり、落ち着く家では無くなってしまっている。
相談者はとてもつらかっただろうなと思う。
そんな事を考えて震えていた若かりし頃の僕がいました。これが怖い「家」の話でした。
次は「呪い」の話をアンビリバボーという番組から。
男は有名なピアニストで近くにコンサートを控えていたのでいつものように自宅でピアノの練習をしていた。
ある時練習中に妻が言う。「あなた、なんか音が変よ。」と。
男には全く自覚がなかった。不調でもなければ、ケガもしていない。「お前の気のせいだろう」と言うほかなかった。
しかし、自宅で働いてくれている調律師の男からも「大丈夫かい?音が変だぞ。」と言われてしまう。
その後も事あるごとに二人から音が変だと言われてしまう。
初めは気にしていなかった男も流石に気になり、原因を考えたり練習時間を増やしたりするが、二人からは治ってないと言われてしまう。
男は調子を取り戻したい一心で必死に練習に励む。
コンサートが近くなったある日、男は鬼気迫る表情で練習していたが、手から血が流れ出てピアノが弾けなくなってしまう。
番組ではこれが「呪い」の正体だ!としていた。
ストレスが呪いの正体ではなかろうかとの展開だ。実際、死刑囚にストレスを与え続けたら死に至ったとの実験の話も扱っていた。
今回の件では実は妻と調律師の男は付き合っていたので二人の策略によるものだった。
男に毎日呪詛の言葉を浴びせることによってストレスを与え続け、追い込み、失敗させるのが目的だった。
この話は「家」とも通ずるものがあるが、安らげるはずの場所が呪いの想いに満ちていた時、身体を壊して当然だよなとも思う。
しかし、人を呪わば穴二つ。
男にはきっと妻と調律師にも良からぬことが起きるだろうと思って忘れて欲しい。
ようやく本書について書きます。
本書の初めはゲームを作る話で、後半はガラリと変わって、呪いの話になります。
じわじわとくる怖さが売りのミステリーです。呪いの正体と真っ向から向き合う名作ですので、この本を見つけたら背表紙だけでも読んでみてください。
と、ここで終えてはいけないですね。
3つ目のキーワードは「建築」ですが、3つ集めて応募してもお渡しできるものは何もないのでご注意下さい。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。