「告白」 湊かなえ
多数の映像化作品を持つ湊かなえさんは今や大御所の小説家といって間違いないのだろうと思う。
ただ、僕は読まず嫌いなのにも関わらず湊かなえさんの小説を避けてしまっていた。
実際本書を読んだのは映画化から数年後だった。
そして後悔した。もっと早く読んでおけば良かった。映画も観に行けば良かった。
娘は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたからです。
という告白を担任の先生が放つのだから事態の深刻さはすぐにわかった。
そして独白形式で物語が進むことから娘の死を巡って二転三転するミステリーなのだなという予想を立ててしまう。
しかし、物語は予想の遥か上をいき、最高にスリリングで息をするのも忘れてしまいそうになるくらい引き込まれていた。
本書は全部で6章からなっていて、娘を亡くした教師、犯人、犯人の家族たちが告白をする。
全員教師の娘の事件によって人生が狂っていくのが、共通項だ。
娘の死の真相を探るだけでも上質なミステリーが出来そうだが、新たな謎や事件が次々と出てくる。
基本的には語り手の独白なので、会話が少なく物事を主観的にしか語れない。
そして中学生の特徴として、圧倒的なまでの自意識過剰がある。プライドがある。
さまざまな制約と登場人物のそれぞれの立場による不自由さが物語をよりスリリングなものとしている。
ラストは………、僕はこの終わり方で良かったと認識している。
これがデビュー作なのだから本当にすごいです。
もう出す作品ほとんどが映像化していますね。
ドラマも映画も小説も目が離せませんね。