僕のグルメ本
「妖怪アパートの幽雅な日常」 香月日輪
本書は学校の図書室に置かれがち。
さわやかだけじゃない若者の複雑な心境も扱うところが妙な味を出している。
主人公の夕士は進学にあたり妖怪アパートに住むことになった。
そこでは妖怪や除霊師たちとの生活を共にすることとなる。
成長していく夕士を見ているのもとても面白いのだが、僕はこの本を最高のグルメ本として認識している。
なのでここからは本筋から大きく外れます。
本書の魅力の一つにるり子さんという給仕さんの方が作る賄いが最高に美味しそうなのがある。
そもそも朝・夕食付きで家賃が25000円だからうらやましい。
夕士がアパートで初めての夕食がトンカツと木の芽の胡麻和え、冷や奴にキュウリのぬか漬け。山盛りご飯と味噌汁もある。
夕士は山盛りご飯を二杯食べ、除霊師の秋音はご飯を四杯も食べる。
徹底した和食からるり子さんのセンスの良さが伺える。
朝はアジの開き、ジャガイモと玉ねぎの味噌汁、ひじき、ベーコンエッグ。美味しい野菜は妖怪たちが作っているから新鮮とのこと。
これらを主人公たちがとても美味しそうに食べるからこっちもお腹が空く。
僕の大好物がごはんとジャガイモなので、これを読んだ時は家で焼肉丼とジャガバターを作ることになった。
そしてるり子さんに対する思いが夕士も僕も高まったときに秋音からるり子さんは「手だけ」だと伝えられる。
空中に白い手が浮かぶ様子は恐怖だが、るり子さんだからかとても可愛くも思える。
このシリーズは全10巻の文庫に加えてアニメ化、マンガ化までしている。
今のところだが、文庫の①巻はとても怖かった。
皆さまにとってのグルメ本はありますか?
レシピ本や旅行雑誌もグルメ本として最高ですね。
読んでいるとあるいは、眺めているとお腹が空く。人の感情や胃袋を揺さぶる本は最高の本です。