「リカ」シリーズ 五十嵐貴久
僕が読書好きになったきっかけの一つとして父が寝る前に怖い話しをしてくれたということがあります。
お墓を漁って骨を食べる老婆の話しは何度も聞きました。当時は毎度新鮮に怖がっていました。父にとってはいいお客様でしたね。
そんな父のおかげで幽霊や超常現象を信じるようになりましたし、ホラー小説は今でも好きです。
さて、このシリーズに幽霊はでてこないが、幽霊よりも怖い「リカ」が出てくる。
写真の「リカ」は2002年に発表されて大ヒットした。
リカシリーズをジャンル分けすると
一作目の「リカ」がホラー。実は妖怪なんじゃないかと思えるほど恐ろしい女性・リカから追われる男を描く。
二作目の「リターン」がサスペンス、もしくは警察小説。犯罪者「リカ」を追う。
三作目の「リバース」がミステリー。リカの誕生と教育を描く。
四作目はこれから読みます。
このシリーズはどれも怖いがリカを客観的に描く。それによってリカをイメージさせ、恐怖を増加させている。
これは冒頭の父からされた怖い話しとも繋がるが、人間だったらそんなことできないよね。というものが一番怖い。筆者も怖がりながら書いているんじゃないかな。
筆者はこれら三作を文体を変えながら書いている。
二作目はスピード感があるし、三作目は重厚感があった。だからか毎回新鮮に怖い。
少し脱線すると筆者の代表作の一つで「パパとムスメの7日間」がある。
(新垣結衣と舘ひろしでドラマ化されたやつです。)
こちらは父と娘の中身が入れ替わるコメディだが、「リカ」との落差がすごい。
多様なジャンルに渡ってヒットするのは人間を書くのが上手いからなのだろう。
僕は特にシリーズ二作目の「リターン」が好きだ。
一作目があまりに怖すぎたので二作目はマイルドになっているだろうと勝手な予測をしたものの、見事に裏切られた。
もう読めないかもと思いつつも一気読みしてしまったが、怖すぎてしばらく頭の中から「リカ」が離れなくなってしまった。
実は四作目の「リハーサル」が手元にあるのだが、自分のメンタルが崩壊してもいい日を計算して読み始めようと思っています。