「スマホを落としただけなのに」 志賀晃
この本は発売当日に手に入れて、すぐに読み終わり、多くの人にオススメして買わせた実績があります(笑)
映画化するよという予想を周囲に宣言し、そのとおりになりましたが、誰もほめてくれずだった事を覚えています。
本書の魅力はタイトルからも伝わるように「わかりやすい恐怖の追求」だろう。
スマホは今や持っている人の方が多いだろう。それをなくすだけでも恐ろしいのに拾った人が連続殺人犯だとは。
流石に拾った人が殺人犯の可能性は低いだろうが、悪さをされる怖れは多い。
本書の発想と発表されたタイミングも見事だった。
僕が特にすごいと思った点は二つ。
一つはハッキングの方法にリアリティがあることだ。
本書はA.B.C三つのパートをそれぞれの語り手が努めており、Aでは犯人があの手この手を使って主人公に迫っていく。
その中でハッキングはソーシャルスキルだとする理論が面白い。僕も知らずのうちに悪いやつに情報を与えてしまっているかもしれない。
ネット上で個人情報を書くのに抵抗はなかったが、本書を読んで少し怖くなった。
ちなみにBが主人公パートでCは刑事パートだ。
刑事パートは粗削りな印象があるが、あくまでも読みやすさを求めた結果だろう。
もう一つは叙述トリックだ。僕は自慢では無いが推理をめったにしない。犯人やトリックよりも、登場人物の動機の方が興味あるからだ。
しかし、本書では犯人が誰か一生懸命に考えた。
多分合ってるだろうと思ったのだが、外してしまった。
裏切り方に味があったし、他にそんなとこにも秘密があったのと驚かされた。
2017年に読んだ本の中で一番でした。
未読の方はぜひ。読んだことがある人は小説に親しくない人にオススメしたら喜ばれると思います。