「ふたえ」 白河三兎
令和になりましたね。これからも素晴らしい本とたくさん出会えると思うとワクワクします。
また、このブログを通じて出会えた人に心から感謝致します。
さて本書は令和に切り替わったと同時くらいに読み終えた。令和の最初にこの本を読めていてとてもラッキーだ。
本書の背表紙には二度読み必至、どんでん返しの青春ミステリーと書いてあったが、僕は大抵の場合そのような言葉は信じない。
必至とか必ずなどの強い言葉はハードルを上げるだけだと感じてしまう。
しかし、本書はその言葉を使ってよいと思った。現に読み終えた後、最終章をもう一度振り返り、30分ほど唸ってしまっていた。
あの時……あいつが……だからああいう表現で…… しかし……うーん……あそこでか……。
ストーリーとしては女子なのに自分のことを俺と言うし先生と平気でもめるし、最初の挨拶で「おまえらなんかと仲良くする気はないから。」と言う、とにかくやばいやつが転校してきた。
クラスでひとりぼっちの人達とその転校生が同じ班になり、修学旅行先の京都で問題を起こしまくる。
みなさん経験あると思うが、先生からは好きな子同士で班を組めと言われる。
そこで組まない子とは好き同士ではないということになるし、周りの目がどうしたって気になる。
僕の場合は席でじっとしてて声をかけられたとこに入る、なんてしていました(笑)いや(泣)かな。
第一話が班のメンバー紹介と片想いの話だったので、あまりミステリーらしさはなく、さわやかさがあった。
他にも舞妓に変身する話や将棋で勝ちたい話、家出や先生に対しての片想いの話もある。
どれも謎の要素はありつつも、自意識過剰で自分勝手で恋に恋する様子は正しく青春そのものだろう。
僕が一番好きなキャラは担任の先生かな。
一見ちゃらんぽらんなんだけど、実は生徒思いで、というか正直で、不登校の生徒に「俺の評価のために学校に来い」と言える先生で好感が持てた。
「大人なんて利用してしまえ」という言葉もあり、何故かそういう大人は信用できる気がするから不思議だ。
(そういえばマンガの「ルーキーズ」の川藤先生も同じことを言っていた。)
さわやかだっただけに最終話であの子の秘密に驚かされる。確かに本書は二度読み必至だった。
知らずのうちに白河三兎ワールドに引き込まれていたな。好きな作家の一人になりそうな予感がして令和初日から幸せでした。