「これは経費で落ちません!」 青木祐子
僕は最近転職したばかりで事務系の仕事は初めてのことです。
職場はたくさんの本に囲まれていて、とても気分良く仕事ができています。
周りの人たちに本当に感謝です。
まだまだ話したことのない方が多いけれど、本書に出てくる魅力的な人もいるかもしれないと思うとちょっとワクワクします。
森若さんは経理部の社員でむやみに愛想を振りまくことはないうえ、雑談をしないせいか周りから見ると真面目だけど話しかけづらいと思われている。
しかし、仕事は抜け目がない上、忙しい時には残業もするから経理部では重宝されている。
主な内容としては経理部を中心としたはちゃめちゃお仕事小説だ。(はちゃめちゃは死語かな?)
経費をごまかす奴や複雑な人間関係がハラハラさせるし、たまに怒る森若さんもいて感情移入しながら読める。
一方で森若さんのプライベートもたくさん書かれており、休日にはマニキュア塗って好きな映画を観てといたって普通だ。
この普通の描写のバランスが見事だ。
一度も男性と付き合った事がない、ということを強調して書いているのだが、森若さんのプライベートは充実しているのだ。
家事のこなし方や余暇の過ごし方まで細かく書いていて、完璧な過ごし方だと森若さん自身が満足している。
見どころは森若さんと営業部の山田太陽との恋かな。
僕の好きなタイプはマジメな子なので森若さんに恋をする気持ちは痛いほど分かる。
しかし距離の詰め方が難しい子だろうなとも思うし、森若さんの完璧な休日をどう崩すか&どうアプローチして仲良くなっていくか、これは目が離せない。
他にも色んなタイプのキャラが森若さんを悩ませる。
シリーズ化されて今は5巻まで出ている。本書に出てくるのは普通の人たちなのだが、ときにはずるいこともする。
そこも含めて普通の感覚を深く味わえる小説だ。