「生存者ゼロ」 安生正
安生正さん渾身のゼロシリーズ第一弾!
パニック小説としても読めますが、壮大なスケールのフーダニット小説として読んだ方が味がある気がしますし、このミステリー大賞をとってたりもします。
北海道の半島にある石油採掘基地で無残な死体が発見された。防犯カメラには人の肉が溶けて(?)、骨だけになっていく様子が映っていた。
その事件を政府から命じられ陸上自衛隊と感染症学者のコンビで謎を追う。
なかなか見ないコンビなのでどちらかと言うと理系の僕はテンションが高くなった。
ミステリーよりもサスペンスに近いが、敵の正体があまりにもリアリティがあって本当にこの事態が起こるのではと思ってゾッとした。
敵の正体がとても面白いのだが、王様のブランチでその正体までを放送してしまったのはショッキングな出来事だった。
敵の正体がわかってからの戦いが総ページ数の3分の1を占めるが、その後の怒涛の展開はまるで映画を観ているかのようだった。
物語のリアリティを出すために自衛隊の仕事が細部まで書かれている(おかげで少し詳しくなった)。
少し映画、「シン・ゴジラ」の会議のシーンに似ているかな。
やはり仕事に誇りを持っている人は素晴らしいし、そのプロフェッショナルな仕事に興味がある。
人が溶けて(?)いく様子には恐怖を覚え、愛する家族のために戦う姿には感動を覚えました。
感情を激しく揺さぶることができる小説は良い小説です。
ちょっと男臭い小説ですが、とてもオススメです。